春の歩みがスピードアップして、さつきが五月を待たずに開きそうです。
それでも、お花見が済むまでは待つのですよという約束を守るお利口さんな自然です。
今朝の『百名山』は山梨県にある日本で二番目に高い「北岳」でした。
”空中の散歩道”から四方に見える山々の景色。決して自分の足では行けない世界は、雲を突き抜けたところにありました。風の匂いを画面から嗅ぎ取れる贅沢な時間でした。
ガイドしてくださった方が、天上のお花畑で、「僕は、この花が好きなんです」とおっしゃって近づかれたのが「トリカブト」でした。
ネットの写真を見ながらスケッチしてみて、「トリカブト」という名前の理由が分かりました。カブトを被っている摩訶不思議な造形です。
「トリカブト」は漢方では附子(ぶし)という名前で利用される生薬です。
性味は大辛、大熱、有毒です。
素手で触っただけでも中毒すると聞くと、その毒性の恐ろしさを感じますが、漢方薬に使われる附子は無毒化してあります。
多くの人が服用している八味地黄丸にも配合されています。
大熱ですから、手足が冷える方などに温める作用を期待して処方されます。反対にいうと、火照る人には向きません。そういう方には附子の入っていない六味地黄丸です。
さて、今週から、『らんまん』が始まりましたね。
毎日毎日、番組が終わるときのサムネイルに小さなお花が紹介されています。
月曜日=ヤマトグサ
火曜日=ユキモチソウ
水曜日=ワカキノサクラ
今日は見忘れた!そのかわり、番組中に万太郎が引っこ抜いたのは、「オオバコ」でした。庭に増えると困りものの(雑)草です。
今週一週間のサブタイトルは「バイカオウレン」。それは、広末涼子さん演じる万太郎の母が好きな花と設定されています。が、もうすぐ、好きだった、に変わりそうな予感を埋め込んだサブタイトルでした。
写真は、去年、弥彦山で見つけた「オウレン」です。
名前を知ると、なぜ、愛おしさが増すのでしょう。
古代人は、そう簡単には名前を明かしませんでした。
「籠よみ籠持ちふくしもよみぶくし持ち」で始まる万葉集の巻頭を飾る、雄略天皇のお歌は「家告らせ名告らせね」と迫ります。
名前という言霊が魂を持っていて、見えないところで相通じることが、昔の人にはわかっていたのかもしれません。
星であっても、花であっても、名前を知ったときから、「出会う」ことの喜びみたいなものが胸に広がるように思います。