昨日、大学校内を散歩してたら、豆がいっぱいぶら下がっている木を見つけました。
何だろう?と調べたら、豆科の「ハナズオウ」でした。
春には、こんな美しい色の花が咲きます。この色が「蘇芳色」に似ていることから、「ハナズオウ」と名付けられたとか。
この蘇芳色を発色するのは蘇芳(すおう)という木です。
木に含まれる色素は、明礬を触媒にすると鮮やかな赤色に、椿やヒサカキの灰汁で媒染すると赤紫色に発色します。
なつかしさを感じる色ではないですか。着物の重ねに用いられたというから、いつか見た色ということで身近に感じるのでしょうか。
この蘇芳の心材から採った蘇木(そぼく)は、活血化瘀薬として使われます。
蘇芳をはじめ、紅花、サフランなど、血を動かす薬は揃って赤い色です。
赤いから、血に効くのではと、インスピレーションを駆使した先人。
広い自然の中からヒントを取り出すときは、素直に向き合う姿勢を失わないことが大切だよと教えてる気がします。
先日、紙面に牧野富太郎が取り上げられていました。博士が関西に足跡を残しておられないかを探る記事でした。
灘高校と、樟蔭女学校に彼が関わった植物園があると分かって、今、それぞれの学校は再生に動き始めているとありました。
私が懐かしく思ったのは、樟蔭女学校の写真です。当時としては、広大な敷地面積を誇る夢の学園だったことが、想像できます。
私が学校に上がる頃には、名声も翳りをみせていましたが、母の自慢は、いつも樟蔭女学校でした。
ハイカラさんが通るでお馴染みの袴姿の女学生に、すれちがう人はみな振り向いたといいます。
そんな憧れのお一人が、田辺聖子さんです。朝ドラ『芋たこなんきん』のモデルといえば、思い出してもらえるでしょうか。
彼女も通った学校の全景写真。園内には、川が流れ、牧野富太郎植物園があったと聞けば、自慢したくなるのもわかる気がします。
先年、老人施設で出会った女性もそうでした。樟蔭女学校のことを、満面の笑顔で楽しくお話しくださったものです。
お好み焼き屋さん、宝塚歌劇の追っかけ。それらは、母と同じ青春を彷彿とさせることから、訪問が楽しみなことでした。
朝ドラ『らんまん』は、寿恵子さんとの駆け引きもあって、その緊張感を好ましく見ています。
好印象の一因は、牧野富太郎博士の情熱を、神木君が真摯に演じておられるところにあるのかもしれません。
大好きなものに出会い、研究に没頭するあまり私財をすべて投入して、それでも足りずに苦労を重ねるという生き方。
お写真に写るお顔に、我が人生悔いなし、とかいてあるように見えます。
心底、素直で美しい方だったのだろうと拝察いたします。