こころあそびの記

日常に小さな感動を

燃え残った土蔵

 

 美しい朝。

 行こうか行くまいか迷っているうちに、陽が高く上ってしまいました。

 それでもぐーたらを断ち切って出かけると、スカイアリーナからの眺めは心を明るくしてくれました。

 ちょうど、中学生たちが次から次へと自転車で上がってくるところでした。スポーツの大会があるのでしょう。青春そのものの彼女たちの笑顔にほっこりしたことです。

 

 

 池では、亀が甲羅干し。

 

 

 泳いでいる亀もいました。

 この姿から、あみだくじねぇ。私には思いつかない、亀の甲羅模様です。

 

 昨日の宿題は大黒様です。

 

 

 どうやら、大黒様の土蔵を持っているのは、「あみだ池大黒」の本店のようです。

 この会社のどなたが始められたのか不明ですが、創業から200年に渡って収集した大黒像は3500体といいます。

 なぜ、大黒様かというと、粟おこしの原料がお米であることから、五穀豊穣の神である大黒を屋号とし、屋号としたからには、大黒様を集めたものと思われます。

 そのあたりの詳細は、先ほど電話取材をしたので、お返事があってからご報告したいと思います。

 

 

 私が関心を持ったのは、江戸時代のお店の広告です。

 

 「家をおこし身をおこしという名のめでたさ 

 これは弊店代々の秘伝として大黒の屋号と共に大神より授かりし 濡れ手で掴む粟おこし福おこし

 一度味わえば財宝思いのまま

 再び味わえば不老長寿を保つとかや     

 今更ならぬ稀代の名菓 」

 そこからです。

 「来る2月3日の年越しのご祝儀として二十銭ご購入の方には 打ち出の小槌5000個限り分かちまつらんほどに悪鬼は外へ

 打ち豆の数にもまさる福徳の果報授からんと思す方々は当日早朝より賑々しくおこしおこしと大黒の大神さまに代わってまねくは 大黒屋 」

 

 昨日、Kさんが教えてくださった行列は、和光寺ではなくて、お菓子屋さんだったことが分かります。

 しかも、このリズムのあるキャッチーな文章。

 暦を知り尽くした昔の人々の信心深さが日常であったこと。それをうまく広告にしていることに感心しました。

 

 儒教経典の大学にある一節「修身斉家治国平天下」。

 古人の憧れた不老長寿。

 春の節分における年越し行事の豆まき。

 

 全てを包含した文章力。

 昔のコピーライターの教養の程度の高さを知って、敬服してしまいました。

 屋号も、お菓子の名前も素晴らしい。大黒様に守っていただけますように。

 存続に向けて、企業努力を続けていただきたい会社です。