こころあそびの記

日常に小さな感動を

大山崎山荘美術館にて

 

 大気中の水の粒がみんな沸騰して湯気を出してるから、空が白く見えるのかな?

 雲は流れる様子もなくて、まったりとした昼下がり。

 大山崎山荘美術館に来てみました。

 ここの喫茶室のテラスからの眺望は最高です。

 この場所に座りたいがために、暑い中、やってきました。

 下界から聞こえてくる電車の音が、さながら武将たちの合戦の響きのように思えてきます。

 桂川宇治川、木津川が合流してできた中州と、陣をはるのに都合のよい山。

 

 

 その名も「天王山」です。

 

 

 開催中の展覧会は、舩木倭帆(ふなきしずほ)さんのガラス展でした。

 若いときに、心不全に罹患して、ガラスを吹いて膨らませるのは無理だと云われた体で、作品作りに没頭されました。

 先日の中之島美術館に続いて、なぜか、この方も柳宗悦に見いだされています。

 「共に暮らして心が和む温かくて美しいガラスを自分の手でつくりたい」

 バーナード・リーチに「星のように冷たい」と評されたのが気に入らず、ガラスの温かさを追求した言葉が残されていました。

 写真のピッチャー。温かみがあって手元に置きたいガラス作品です。

 

 

 この山荘は、大阪の船場生まれの山木爲三郎氏の収集した作品と、高麗橋生まれの加賀正太郎氏の別荘のコラボレーションでできた美術館です。

 外観といい、内部の調度といい、大正ロマンの豊さが落ち着きを放っています。

 

 

 庭園の睡蓮。

 地下展示室のモネの睡蓮にも二十年ぶりの邂逅です。

 ここの睡蓮はモネが七十歳を超えた1914年ころに描かれたとありました。若いときには、気にも止めなかったことが、重大なことに思えてくる年になりました。

 舩木倭帆さんが心不全のお体を押して作品を作られたように、モネも、白内障の目で見ていたのですね。

 どうしてもやりたいことを持って生きることが、最後まで生ききることに繋がる。それは絶対不変の法則であることを再認識して帰ってまいりました。

 

 

 暑い!それで、一日が終わるのはもったいないことです。

 と言った端から、明日はゆっくりするつもりです。

 めりはりつけて、炎暑を切り抜けましょう。立秋が直ぐそこで待っています。