こころあそびの記

日常に小さな感動を

脱・三伏

 

 昨日、8月20日は、末伏があける日でした。

 夏至から三番目の庚の日である7月11日の初伏から始まった三伏三伏が終わったということは、夏の盛りが過ぎてしまったことを意味します。

 ちなみに、立秋のあとの初めての庚の日を末伏といい、それは8月10日でした。

 この日から10日目の昨日8月20日三伏は、すべてあけたということになります。その日のことを出伏といいます。

 

 どうしてよ。こんなに暑いじゃないですか。といわれる向きには同意いたしますが、秋は静かに近づいてくるので、昨日と今日では大違いというわけにはまいりません。

 そんな激しい変化では体の方がついていけないことでしょう。

 小さい秋がそっと近づいて、気がついたら辺りが秋色に染まっている。そんなふうに長く楽しめるのが秋の持ち味ではないでしょうか。

 

 出伏には

  「 余熱未散

     宜喝清茶 」

 夏の火照りが残っている体には、緑茶をおすすめします。と、あります。 

 なぜなら、緑茶は熱を冷ましてくれるからです。

 

 私の場合は、来月あたりになると、なぜか紅茶を欲するようになります。体がそうしておくれと命じてきます。

 冷やすコーヒーから、温める紅茶へ。

 文明生活で鈍感になった体ですが、まだ生物の勘を失っていないと感じる瞬間です。

 

 ところで、この暑さはもうこりごり。早く涼しくならないかなと待ちわびる気持ちの裏に、”夏“という季節に対する一抹の名残惜しさをあわせ持つのも、この八月の終わりの特徴ではないでしょうか。

 

 

 井上陽水さんの名曲に『少年時代』があります。

 陽水ワールドを知らない人にも、世代を越えて人気のある歌で、1990年公開の同名映画の主題歌です。

 

 「  夏がすぎ風あざみ

  誰のあこがれにさまよう

  青空に残された

  私の心は夏模様 」

 

 夏の終わりの感傷が、祭りの終わりと重ねられて、陽水ワールドが歌詞にあふれています。

 カラオケの十八番にされている方も多いと聞きます。

 それほど、誰にとっても夏の終わりの記憶は、濃いものなのかもしれません。

 

 

 孫たちの夏休みも残り少なくなってきました。

 夏の記憶の足しになればと、孫娘とシンフォニーホールに行ってきました。

 彼女は初めてのシンフォニーホールですから、ディズニーの曲をブラスバンドが演奏するという出し物を選びました。

 

 

 学生時代、合奏部に所属したことがありました。みんなで音を合わせる爽快感や達成感が、自分を高揚させたものです。

 昨日は指揮者の方がメンバーのひとりひとりを紹介してくださいました。

 NHKのど自慢の鐘を叩いてる方もおられたりして。和やかな進行で、最後のリベルタンゴまで楽しく聴かせて頂きました。

 

 最後に、このシオンブラスバンドはシカゴの世界大会に招待されていると紹介がありました。

 航空運賃さえ賄えるかどうかの瀬戸際。それでも、自分たちの音楽を聴いてくれる人がいることに励ましを受けて、きっと旅立たれることでしょう。

 すべての人間の願いである、“どうしてもやりたいことに出会う“という夢を叶えた彼らは世界一幸せに違いありません。

 行ってらっしゃい~