こころあそびの記

日常に小さな感動を

空のできごと

 

 前日に持参を忘れた双眼鏡を首に掛けて、昨晩もビューポイントに上ってみました。

 マジックアワーが美しく広がる予感がする空の色にうっとり。

 

 

 少し太ったとはいえまだ月齢2.7のお月さま。

 輝く眉月の部分以外には、うっすらとまぁるい月の影が見えています。

 これが、地球影です。

 太陽から放たれた光が地球に当たり、その光が月に反射している現象だそうで、その光が目の中に映りこんでいる。

 悠久の光の旅の果てがここにたどり着いた。空を見ていると、些細なこの世の煩いなど忘れられる気がします。

 

 双眼鏡を覗いていたら、娘たちが息を切らしながら上ってきました。

 「猪名川花火大会やねん!」

 そうでした。すっかり忘れてました。

 

 

 三日月と花火の競演なんて、なかなか見られるものではありません。おまけに、伊丹空港からは次々に飛行機が花火めがけて飛び立ってきます。

 少し涼しくなった風に吹かれて、三々五々集まったご近所の面々と楽しく過ごした夜でした。

 

 

 道ばたで、こんなものを拾いました。見上げた街路樹はユリノキ

 これは、ユリノキの実でした。

 交野にある大阪公立大学附属植物園で、台風で折れてしまった高さ30メートルのユリノキが残した太い幹を見てからというもの、この木に思いを寄せるようになりました。でも、実を見たのは初めてで、うれしいことでした。

 花のように見えるのに、これが実だそうです。一枚一枚が翼となって根元の種を飛ばします。

 何万年も昔の恐竜時代、日本にはユリノキが自生していたといいます。この花や実を食べていた恐竜たちを意外に近い存在に感じさせる古代の生き残りがユリノキなのです。

 

 

 コロン!と松ぼっくりの落ちる音が聞こえました。

 拾った松ぼっくりは茶色です。樹上の実は緑色。

 どうなっているの?

 おおかたのドングリがそうであるように、松ぼっくりも二年かけて育ちます。二年目に種を飛ばしたあと、仕事を終えて、松ぼっくりは落下するそうです。

 

 「 地球に種子(たね)が落ちること 

           岸田衿子

  地球に種子が落ちること

  木の実がうれること

  おちばがつもること

  これも 空のできごとです

               」

 この詩を思い出す季節が近づいてきました。

 衿子さんが見た「空」は永遠と繋がっているのでしょうか。