こころあそびの記

日常に小さな感動を

福岡伸一先生

 

 出かけようとしたら、シャンプー中のわんこと目が合いました。

 「一緒に行きたいところやけど、残念!僕、今、一番の幸せタイムやねん。」

 「そうですか。ほな、さいなら。」

と、大形徹先生の講座に出発です。

 

 

 市内の移動は、お気に入りのシティバスを利用します。待ってる間、空を見上げると自分の子ども時分とはさま変わりした空があります。

 空を小さくしたのは、この時代の人間が考えうる最高傑作の数々です。

 その谷間で、松下幸之助さんが寄付された歩道橋上を人々が行き交っています。何十年も役立っているのを見るにつけ、彼の社会貢献に対する先見性に感服します。

 出がけに見た“1000年インタビュー稲盛和夫さん“の昭和版。こういう人達がおられるから時代が前に動いていくことに思いを致したことでした。

 

 

 昨晩、『スイッチインタビュー特別編』で、福岡伸一さんと坂本龍一さんの対談の二回目が放送されました。

 

 働いていたとき、読書家と思しき同僚に尋ねたことがあります。

 「誰が好きなん?」

 「私は福岡伸一さん」

 福岡さんの『生物と無生物のあいだ』に大いに共感を覚えていた私は、彼女の読書力に敬服したものです。

 あれから十数年。福岡伸一先生が到達されたのが『動的平衡』理論です。

 因みに、当初は福岡先生が27歳で、ロックフェラー大学に在籍されることになった大生物学者とは露知らずにいました。

 今回の放送で初めて知ったとはお恥ずかしいことです。

 

 私は『動的平衡』を読んだ瞬間、それは漢方やんかと思いました。

 「人間は自然の一員である」という基本理論にぴったりと合致いたします。

 地球が人間を含めて、これだけの生命体を抱えても太古から変わらず循環を繰り返している。人間が問題にしている些細なことなど、素知らぬ顔して生きている。

 

 福岡先生がスイッチインタビューの中で、遺伝子研究の末に行き着いた、分解と合成のバランスについて話されていました。

 普段は作るスピードと壊すスピードが同じだから健全です。

 ところが、このバランスが崩れたら病は発生するというのです。

 私流に考えるに、たとえば癌細胞はコントロール不能で増殖し続けます。そのとき、それを壊す機能のスピードが追いつかなれば、作ることと壊すことのバランスに乱れが生じてしまうことは知られたところです。

 

 ここからです。驚いたことに、先生のお口から、漢方という言葉が漏れたのです。

 こんなとき、生命体は全体で制御されていますから、西洋医学的に足し算や引き算をするよりも、全体を見る東洋医学、漢方の方が動的平衡を修正するにはいいのではないかと仰ったのです。

 

 

 私の直感は当たっていた。

 動的平衡とは、漢方の考え方に近い。

 それが、うれしくて、『動的平衡2』も読もうと、Amazonをポチってしまいました。