こころあそびの記

日常に小さな感動を

雑草の役目

 

 稲刈りのおわった田んぼの近くで、名残惜しそうに雀軍団がピーチクパーチク鳴いています。

 

 

 しばらく行くと、一本の木に十羽ほどの小鳥が集まって囀っていました。

 よく見ると、それは桜の木。

 この数日来、朝晩は平年並みに冷えるようになりましたが、昼間は汗ばむほどです。その陽気に誘われて、桜の花がチラホラ咲き出していたのです。

 その花を食べに来てるのでしょうか。

 ジージーとか、チッチッと鳴き交わしています。

 その様子がかわいらしくて、木の下で随分な時間を過ごしてしまいました。

 

 

 今日はお二人の男性とお話しをしましたよ。

 

 お一人目は、道の脇の雑草を刈っておられた方です。

 「今年は暑いから、もう一度生えてきそうなので少し早いんですがね」と、今年の酷暑が野菜の収穫に影響を与えていること。そのせいで値段を沸騰させていることも教えてもらいました。

 

 

 ついでに、長らくの疑問を解決してもらうことができました。

 それは、「自然農法」についてです。

 自然農法は、雑草と共存させて作物を作る農法のことです。写真で見ると、雑草畑みたいです。

 庭の片隅の小さな菜園でも、ちょっとさぼるとあっという間に雑草に占拠されるのですから、雑草との共存で作物ができるとは考えられないことでした。

 

 「自然農法ってありますよね。どんなふうに作るのですか?」

 「苗を植えるところの雑草を、根を残して地上部分だけ刈り取ります。それは、背の高い雑草があると小さな苗に光が当たらないからです。もう一つの理由は、根っこが枯れた後に、空気が通る穴が出来て、土に空気を通してくれます」

 「そんな理由があるのですね」

 「もちろん、作物を生らせるには、はじめのうちは手助けが必要です。雑草の方が茂って、苗に光が届かなければ、実りませんからね。でも、いずれ地上部の雑草が枯れたら、それは土の栄養になっていきます」

 「そういえば、こないだ、植物には光が一番大切と習ったのですが・・」 

 「そうです。光が当たるから光合成ができます。それは、人間の食事のようなものです」

 

 彼は、そのあと、私が好きなたとえ話をしてくれました。

 「あの山で起こってることを畑でやってるんです。山で毎年どんぐりや柿が生るのは手入れしてそうなるわけではないですよね」

 そうか。全て納得。彼に教授してもらってよかった。

 「また、声かけてください」。

 そんな言葉が温かく胸に残った午後でした。

 

 

 もうお一方は、ローマ人でした。

 通りすがりの畑で、何やらスイカみたいなものを懸命に拭いておられるように見えました。

 たまたま目が合ったのでお声かけしたら、ローマから来た方でした。

 第一印象はお顔が私の半分!

 日本人の奥様と結婚されているそうです。

 「いつかローマに帰るんですか?」

 「いや、日本にいます。ローマは大きい。日本(箕面)は、小さくて優しくて静かで良いところです」

 日本国を教えてもらった気がしました。

 残念なことに、彼がなにを磨いていたのかは、わからずじまい。イタリア語できませんので、悪しからず。