こころあそびの記

日常に小さな感動を

おたがいさま

 

 季節は巡り、あっという間に金木犀のシーズンは終わりました。

 いたずらして枝を揺すると、小花が降ってきます。木の下に散り敷くオレンジ色が名残惜しさを助長してくれます。さよなら、また、来年。

 

 

 次男のご実家から、季節のご挨拶が届きました。

 篠山まで買いに行かなくても毎年送ってもらえるなんて、ラッキーすぎます。お手数おかけして申し訳ないけどありがたいことです。

 同封されていた説明書には、湯がくのは早ければ早いほどよい、と書いてあったので、重い腰を上げて台所に立ちました。

 

 湯がいた黒豆枝豆をザルに上げて就寝しましたところ、朝、殆どなくなっているのを見てびっくり!

 だれ?

 訊いてみたところ、娘夫婦が昨夜、台所で枝豆摘みながら立ち飲みしたそうです。

 「美味しくてやめられへんかった」

 篠山農協で並んで購入されている様子をテレビで見かけますが、その気持ち、分かります。本当に美味しい枝豆でした。

 

 

 枝豆と同時に宅配されてきたのが、娘夫婦が発注した、宮崎県都城市のふるさと納税返礼品です。

 紅はるかが大量に届いていましたので、ついでに「大学芋」を作ってみました。

 こういうのも、時間があるからできることです。

 

 

 お砂糖溶かして、黒ゴマふって。孫たちのおやつに作ったのに、またまた娘に食べ尽くされそうになりまして、すんでのところでストップ!

 なんとか、おやつに残してやることができました。

 

 

 庭でこんな草が繁茂しているのを見つけました。

 正しい名前はわかりませんが、カニクサ?

 もし、胞子で増えるシダ類だとすると、放置しておくとたいへんなことになるそうです。

 それは、種子であっても同じこと。

 

 

 先日、ある家庭菜園を通りかかったとき、こんな会話が聞こえてきました。

 隣り合った菜園を借りておられるようです。

 

 「お久しぶりです」。車から降り立ったのは、まだお若い男性。

 「何を植えますか?玉ねぎなんかどう?」と、隣の菜園のご主人。

 「それも、いいですね」と応えながら、久しぶりに来た方の手は雑草抜きを始めています。

 「すみません。長いこと来れなくて。種が飛んでご迷惑おかけしてたんじゃ・・」と、申しわけなさそうに話されます。

 なんのことかと思ったら、雑草の種が飛んで、隣の畑に侵入したのではないかと謝っておいでだったのです。

 それまでだまっていた隣の菜園の奥さんと思しき方の声が聞こえました。

 「気にしなくていいよ。お互い様だから」

 おたがいさま。

 近所付き合いも稀薄になった現代では、なかなか聞けない言葉です。

 こんな時に、すっと出せた女性のスマートさに感心したと同時に、胸が温かくなったことです。

 パッパラパーと生きてきましたが、こういう言葉を話せる人に出会う度に恥ずかしい思いがします。ちゃんとした年寄りにならねば、と。