ローズヒップの中身を取り出して、皮だけオーブントースターで焼いたら、こんなんできましたけど、と娘が持ってきてくれました。
ローズヒップ茶。あとで飲んでみることにしましょう。
堅い実と格闘した娘の言葉は「なんで、昔の人は、こんなものを飲んでみようと思ったんやろう」でした。これぞ、すべての研究の端緒であるように思えて、ちょっとうれしいことでした。
時間の無駄遣いとわかってはいますが、外が寒いことをいいわけにして、中国ドラマを観ています。
日本に根付いた文化もあれば、興味深い異文化もあります。
中でも、病気になったときに処方される煎じ薬とか、羮(あつもの)が出てくると字幕に見入ってしまいます。
中国大陸は北方異民族との戦いの歴史ですから、北の侵入を防ぐ意味で、北の方に多くの国が乱立していました。
今でも、あんな広大な国土にも関わらず、北京は随分と北に寄っていることからも推測できます。
中国北部は日本人が考えられない寒さだといいます。
戦時中、大連におられた方が忘れられないと語られるマイナス40度の寒さは、「濡れたタオルを外でグルンと一回、振り回せば、上を向いたまま凍る寒さ」だとか。
ですから、そこでの病はほとんど寒邪によるものと考えられます。
つまり、当時の薬は体を温めるものが主成分だったはずです。
皇帝が飲んでいた羮(あつもの)は、羊肉と大棗の煮物だったのではないでしょうか。
肉の性質にも、寒熱があることをご存知でしょうか。
前述の羮スープは、羊肉が(大)熱だから、冷えた体を温めたのです。
北海道の羊が丘で提供されるのは、マトンですし、モンゴル平原には羊の群が放たれています。
極寒の中で食べる羊肉が、体を温めてくれることを実感していたのでしょう。
因みに、今、私たちが食べる「羊羹」は、羊という字がいっぱいです。
昔、禅宗とともに羮(あつもの)が入ってきたころ、戒律の影響で羊肉が食べられなくて、小豆と砂糖を蒸して羊の肝に似せて作ったものが始まりだということです。
さて、反対に馬刺は九州産が多くないですか。それは、馬肉が涼(微寒)だからです。
寒い所では羊肉で温める。
暑い所では馬肉で冷やす。
見つけた先人にも感心しますが、それを供給している天には感謝しかありません。
ついでに、牛肉は温性ですから食べ過ぎると体の寒熱バランスが崩れます。早い話、成人病と云われる方は、召し上がる量が過ぎているのかもしれません。
では豚肉はどうかというと、平(微寒という説もあり)です。寒熱を気にしないでよいわけですから、全国で食べられています。
どこで収穫されたものか。また、どの季節に穫れたものか。それが、寒熱を表すことが多いようです。
その土地で自然から提供されるものは、その土地に必要なものです。
『地産地消』。
それが、基本だったのです。
ほかの場所のものを欲しがる必要はありません。