こころあそびの記

日常に小さな感動を

カモたちが帰ってきた!

 

 見て見て!

 寒い北西の風が、カモたちを連れてきてくれました。 

 お帰りなさい。

 川岸に並んで羽根を休めています。その様子から、私が勝手にそう思っただけかな。

 

 

 こんなシーンを見れば、そういいたくなるのもお許しいただけるのではありませんか。

 岸の上に上がったカモたちがずらっと並んで日向ぼっこして、こっくりこっくりしています。

 かわいくて、傍を離れたくなかったです。

 昨晩、着いたとしたら、そりゃ眠いでしょう。

 

 

 飛来したカモたちは、樺太から北海道経由でくるもの、日本海を真っ直ぐに横切るもの、朝鮮半島から九州や山陰に至るものと、三つのルートのうちのどのコースを辿ってきたのでしょう。

 いずれにしても、この小さな身体で、強風と雪の中を飛び通してきたことを想像するだけで、胸が熱くなります。

 ありがとう、よく帰ってきてくれたね。

 もう少し、もう少しと励まし合ってきたのかな。それとも目的地まで、わき目もふらず、ひたすら飛び続けてきたのでしょうか。

 すべての生物に組み込まれたこのような過酷な宿命に思いを致すとき、人間の果たすべき役割は何なのかと考え込んでしまいます。

 せめて、冬の千里川が彼らにとって住みよい環境であってほしいものです。

 

 

 今朝の夜明け前の空は、細くなった弓月が天頂にありまして、その東側に明けの明星がスピカと並んでいました。

 スピカは控えめに青白く輝く星です。

 この星を含むおとめ座銀河団は、地球からなんと6000万光年かなたにあるそうです。

 ギリシャ神話は、この星を農業の女神デーメールと名付けています。彼女が姿を消している4ヶ月の間(冬)、地上に農作物が実らないとはおもしろい創作物語です。

 

 

 『ときめく星空図鑑』(山と渓谷社)に、「春の星座の方向には天の川の帯が見えないので、天の川に遮られず銀河の外の遠い宇宙を観ることができます」と書いてありました。

 夜明け前の漆黒の空にスピカを見るときに私が感じる直感は、本当でした。スピカの見える空は宇宙が見えているのです。

 鈍くなったと思っている感性を蘇らせるものが、夜明け前の空にあることがわかって、うれしいことでした。