こころあそびの記

日常に小さな感動を

七十二候「禾乃登」

 

 めぐりあいは一期一会。

 お米の花が咲くころだからといっても、遭遇できずに季節は過ぎてしまうことが多いものです。特に、お米は一日花。直ぐに、籾の中に格納されてしまいます。

 きのう、千里川沿いを歩いて職場に向かっていましたところ、その稲の花が咲いてるのを見つけて、うれしくてたまらなくなりました。

 誰かにこのことを話したくなっていたとき、出会った相手が、いつかお話したことのある農家の奥さんでした。

 「お久しぶりです。お米の花が咲いてますね」と、話しかけましたところ、

 「そうなんですか。そやね。あと1ヶ月もすれば稲刈りやもんね」

 そうそう、彼女は農家に嫁いできたので、不慣れな農業に戸惑っているとおっしゃっていたことを思い出しました。

 しばらく立ち話したあと、徐に足下の雑草を刈り始められました。

 「あっ、ちょっと待って。それって、スベリヒユですよね」

 「そうなんですか?」

 隣の畑のお世話をされていた方も近づいてこられて、

 「湯がくとねっとりして、昔は食べましたけど、今はね~」

と話してくださいました。

 「かわいいお花やから、ちょっともらってもいいですか?」

 と、厚かましくもらってきて一輪挿しにしています。

 

 

 今日は七十二候の42候『禾乃登』(かすなわちみのる)です。

 暦どおりの出会いをうれしく思っています。

 

 

 今朝は、4時に目覚まし時計を合わしましたのに、起きられませんでした。

 あるものを観に行くつもりにしていたのです。

 あるものとは「西村彗星」です。

 

 いつも星空探検ガイドにしている「国立天文台」の“今夜の星空”に、先日から、見かけない名前の星が載っています。

 明けの明星のそばにある”西村彗星“って何だろう?と調べたら、この8月23日に発見されたばかりの彗星で、その発見者が西村栄男(にしむらひでお)さんという方だそうです。

 この彗星は、約300年周期で太陽の周りを回っているので、次に見られるのはずっと先の先。

 そんな貴重な彗星がこの一週間ほど地球に近づいて双眼鏡でも見えるとあるではありませんか。

 見ないという選択は惜しい。

 今週は曇天予報ですから、今朝がチャンスだったのに・・だめな私です。

 

 

 なぜか、他のどんなことよりも人の生きざまに興味を持ちます。

 この西村栄男さんも、wikiを読む限り、私の憧れるお一人のようです。

 周りの説得もきかず、高校進学を断って、アマチュア天文家の道一筋に生きてこられました。

 牧野富太郎と似た生き方を選んだ人です。

 今までに、発見した新星は31個、変光星が14個、彗星が3個だそうです。

 その生活は、とても真似できるものではありません。

 夕方は西の空を観察して彗星を調べ、それが済むと天の川を掃天撮影して家に持ち帰り、その映像の中に新星はないか探し、少しの仮眠の後、もう一度フィールドワークで夜明けの東の空の彗星を観察する。

 それを続ける気力は、空から降ってくるのでしょうか。

 高校受験を勧めた担任の先生の言葉がwikiに載っています。

 「あのとき、君の担任だったことを誇りに思っている」

 一人の濃い人生が、周りにいる人たちに幸せを配ります。そういうのって、いいですよね。