こころあそびの記

日常に小さな感動を

探鳥会

 

 散歩の楽しみは、出かける時間帯によって違った景色が見られることです。

 たとえば、この和名・芙蓉方波見(別名オキザリス)です。

 太陽が上りきらないうちは花びらを閉じていますが、十時を回ると盛大に咲いているところに出会えます。

 なんか、うれしい。

 わけもなくうれしいという気持ちが、身体の奥深くを温めるように感じています。

 そんな楽しみを見つけたくて、今日は万博公園で探鳥会に参加しました。

 

 

 9月よりもたくさんの種類の小鳥と出会えたのて、「冬鳥ですか?」と尋ねたら、「鳥も暑いときは活動を控えることと、木々が葉を落として見通しがいいのも観察に都合がいいのかもしれません」と説明を受けて、なるほどと合点しました。

 ツグミハクセキレイセグロセキレイカワラヒワ、アトリ、カワウ、モズ、アオサギカワセミ

 そして、「あれは何ですか?」と訊ねると直ぐに「キンクロハジロのメスですよ」と答えてもらえるのが、専門家と歩く楽しさです。

 

 

 たまに、ミニ講義をしてくださいます。

 今日はキリの実と、ケヤキの実を教えてもらいました。

 

 

 平素、疑問に思っていることも、見逃していることも、こんな機会に教えてもらえます。

 今日はケヤキの疑問が解けました。

 紅葉の美しいケヤキがはらはらと散った後、まだずっと上の枝先に何かが残っているのを見ることはないですか。

 あれはケヤキの実で、落葉する葉っぱよりずっと小さい葉っぱを付けたまま、くるくる回りながら遠くまで吹き飛ばされる仕掛けになっているそうです。

 より遠く飛ぶために、高い枝先にくっついている。

 なんと、自然の賢いことよ。

 どなたが考えたことなのかと、また、感心して帰ってきました。

 

 

 歩きながらの参加者とのお話も勉強になります。

 「僕は去年の春、10時間に及ぶ大手術をしたんです。その後、歩けなくなって、車椅子生活をしてたんです」

 「生かされたんですね」

 「帰ってきてしまいました」

 穏やかに話しておられるようでも、心の内の葛藤ははかりしれません。

 「歩くことがつらくなってバードウォッチングがだめになったら、次は子どものおもちゃ作りをしようと思っています(笑)」

 前へ前へ。与えられた日々を、やりたいことをして精一杯生ききる。

 それは、病気の体験者だけじゃなくて、生かされている私たちすべてに課せられたものと、気を引き締めなおしたことでした。