散歩道。まだかな、まだかなと待っていた臭木(くさぎ)の青い実が、赤紫色のがくが捲れて姿を現していました。
この木は、雑木と云ったら叱られますが、どこにでも実生で根付きます。
うちの庭でも、どこから飛んできたのか、放っておくとどんどん大きくなるから困りもの扱いしていました。
ところが、数年前、奈良のキトラ古墳公園で道に落ちていた赤いがくに包まれた青い実のあまりの美しさに、拾って帰ってきたところ、家に帰り着いて車を停めた目の前。「お母さん、ここにあるやん」と娘に教えられた、まさに灯台下暗しの実です。
後で知ったのですが、草木染め愛好者には貴重な実だそうです。
その染め上がりは、ミントグリーンといいます。落ち着いた淡い青緑色。
庭の臭木の実で、来年は染色遊びをしてみましょうか。
空は一面の曇天。どこにも雲のかけらは見えません。もう少し寒ければ、雪模様になるのに・・と思ったりするのは、子どもに許される戯れ言。
朝から、中国ドラマ『ミーユエ』のラスト3話を観ました。
81話もあったので、いつになったら見終わることやらと懸念してましたのに、なんのことはない、あれよあれよという間に最終回です。
見終わったら虚無感に襲われることは分かっていたのですが、だからといって、だらだらと観られない質で、つまりはせっかちなのです。
ドラマは、ミーユエという中国古代の秦の宣太后がモデルです。彼女は、秦の始皇帝の高祖母にあたるそうですから、始皇帝はたまたま統一のタイミングに生まれついたのでした。それまでの何百年にも及ぶ先祖の努力があったから、頂点に生まれるべくして生まれたのが始皇帝だったのです。
ところで、日本の歴史もろくに知らなかった私が、中国の歴史に興味を持ったのは大形徹先生との出会いのおかげです。
先生の講義に参加させていただいた当初はすべてがチンプンカンプンでした。
教室でお目にかかった学生さんから、「中国ドラマを観るのも勉強になるよ」と教えられて無料ドラマを探して見始めました。
たびたび出てくる煎じ薬の生薬名には、ふむふむと興味深々です。
それよりなにより、ミーユエの愛の物語に泣かされました。戦国時代ですから、戦闘シーンが多いと思いきや、ミーユエという女性をヒロインにしてあるところが、女性ファンを飽きさせないところです。
すっかり、その術中にはまってしまった、バカな私でした。
今日観た最終回では、兵馬俑が出てきました。
戦国時代以前には、家来は殉葬されていたそうですが、ミーユエの時代には俑(ひとがた)を作らせるようになっていたらしいです。
人馬、家屋、生活用品、家来などをかたどった俑を、来世に困らないように主と共に埋納しました。
20世紀最大の考古学的発見といわれる「秦の始皇帝陵兵馬俑」は、1974年に発見されました。発見まで、2200年、地下で眠っていたとは驚きです。俑の彩色もほとんど剥げ落ちても仕方ない時間を要しました。
大阪にも先年、その一部がやってきました。ほんの少しのレプリカでしたが、それでも、そのとき受けた強烈な印象が今も消えていません。目の前に現れた歴史に心動かされたのだと思います。
ドラマ『ミーユエ』には、人が、それぞれに役割を任された立場で生ききることの素晴らしさを、あらためて教えられました。
わが国でも、歴史を生き抜いた人々がいたから今があることを思えば、私たちもバトンを確実に次世代に渡し終えたいものです。