こころあそびの記

日常に小さな感動を

朝日に願う

 

 十六夜の月が天頂からわずかに西に傾いた時刻に起き出しました。

 月光が芝生に自分の影を長く映し出すほど明るくて、星々が隠された夜明け前でした。

 有明の月は、人の気持ちに不安定な幻想を抱かせます。ベートーベンもドビュッシーも、こんな光景を見たのではないかと毎回思ってしまうのです。

 

 

 せっかくのフリーの朝なのに、ぐずぐずしているうちに、お日様が上ってしまいました。

 アリーナに向かう車中に溢れる黄金色の光に急かされながら、マイパラダイスに到着。

 散歩の人たちと、おはようございます!と挨拶を交わしながら見る朝日は最高です。

 

 

 ぐるっと一周して帰ろうとしたら、お知り合いになったおじさんがマイカーを拭きながらお待ちくださってました。

 「精が出ますね~」

 「いや、こいつだけですよ。人間一つだけでも続けられたらええんです」

 なるほど。朝から蘊蓄のあるお話が伺えてありがたいことです。などと話していたら、やおら車のドアを開けて、フロントに貼り付けた附箋を剥がしてきて下さいました。

 「不幸は人の誤った解釈から始まる」

 と読み上げて、

 「これは、フランスの偉い哲学者の言葉なんです。忘れんように書き留めてますねん」

 「いい言葉を教えてくださってありがとうございます。感謝して過ごさなあきませんね。新年の言葉として頂戴します」

 

 

 帰宅して、この言葉を探したのですが、同じ言葉は見つかりませんでした。しかし、「人間は考える葦である」という名言を残したフランス哲学者パスカルの次の言葉が心に引っかかりました。

 

 「不幸はその人の偉大さを証明するものである」

 不幸を嘆き悲しむだけでは不幸に終わる。不幸をバネにできるかどうか、それがその人の偉大さを証明することになる。

 

 

 一昨日、作家の百田尚樹さんが癌を告白なさいました。

 日本保守党を立ち上げたばかりで、ご本人の無念さは想像を絶します。

 しかし、なんとしても生還して、日本の未来の礎を形にしていただきたく、全国の応援者と共にお待ちしています。

 元気になってください。

 できることなら、氷水は飲まないようにしていただきたいけど無理強いはいたしません。自然体で好きなことを好きなようになさることが、回復力を増進させることでしょう。

 絶対、元気になってください!