こころあそびの記

日常に小さな感動を

立春大吉

 

 昨日の午後、近くの氏神さまで挙行された豆まきに行ってきました。

 毎年のことなのに、参加したことは皆無。何事もえいっ!という気合いが必要ですね。

 

 

 小さな氏神さまの豆(魔滅)まきは、みんなの笑顔で埋まっていました。それも無垢の笑顔です。

 豆をもらうだけですよ。そのたった数分で、人間はこんなに幸せになれることをうれしく思いました。 

 取り合うこともなく、取れた?と訊いてくださる方があったり、こっちも投げて!と声がかかったり。

 楽しい楽しい数分でした。

 思わず、人間っていいな、という日本昔話の歌が思い浮かんだことでした。

 

 

 開けて立春

 聖天展望台に行ってみました。

 見上げると、丸裸の梢の先が折り重なって、青空に透けて見えます。その先には白い雲が流れていて、どこかの詩にあったような情景でした。

 あぁ、これが立春の空だなぁと一人ごちていましたら、静かな森から木々の幹が軋む音がしてきます。

 春は名のみ。さすがに冬の虎落笛(もがりぶえ)の恐ろしさはありませんが、今日、明日と日本列島に沿って南岸低気圧が通過するようですから、あらしになりませんように。

 

 わが園に梅の花散るひさかたの

 天より雲の流れ来るかも

              旅人

 

 

 展望台から降りてきたら、山道の落ち葉を掃いておられる方がありました。

 「落ち葉を集めて、肥やしにでも?」

 「いや、そこのススキがもう何年も生えたままやったので、切りに来ました」

 その山道と接するお寺のお世話をされている方だったのでしょう。

 ご親切なことに、ススキを刈り取った後に芽生えた新芽のところまで連れて行って下さいました。

 「長けたところは切ってやらないと次の芽が育ちませんからね」

と、バッサリ。次世代を育てる術が、この老婆の胸に刺さって、しばらく次の言葉が出てきませんでした。

 また、こうも教えて下さいました。

 「根っこは大切です。タンポポもオオバコも何十センチも深く根を張っているから、踏まれても踏まれても出てくるんです」

 

 いのちは世代交代の好循環と根っこの確かさにあって、それは、人間も同じです。

 今日も、自然から学びを得ました。