こころあそびの記

日常に小さな感動を

市軸神社

 

 目覚めて温度計を見たら3度。なんだ、寒くないやんと散歩に出ました。

 今日は節分。

 明日から始まる新年のために厄払いをする日です。

 昼からは氏神さまにお参りするとして、まず朝日を拝むことに。

 重たい雲に阻まれていたからこそ、こんな光芒が見られたことは幸運でした。

 

 

 阪大の校舎が上から赤く染まっていきます。

 

 

 阪大から中国自動車道を越えた刀根山の入り口に「首なし地蔵尊」が祀られています。

 このあたりは江戸時代以前にはさびしい場所だったでしょうが、桜井谷や石橋へ抜ける旅人が通ったという痕跡があります。

 彼らと同じく長い時の流れの中の一員であるという感覚が、今を生きる励ましに思えます。

 

 

 ようやく、お目当ての「市軸神社」に着きました。

 この神社の存在を教えてくれたのは、結婚当初に住んだアパートの住民のお一人でした。

 彼女がこの神社の崇拝者であったのは、親御さんから「女を守ってくれる神様」と聞かされて育ったからだといいます。

 その頃の私には、縁のなかった刀根山。その後にその場所に住まうことになるなんて、思ってもみない頃のことでした。

 

 

 ユニークなお多福さんが迎えてくれる神社です。

 ここは由緒正しく夜間に豆まきを挙行されます。今夜7時です。

 本来、鬼が出るのは丑寅の時刻です。草木も眠る真夜中に妖しげな邪気が漂うのです。

 だから、京都の吉田神社の節分祭も夜間に行われます。

 といっても、真夜中はさすがに無理があって、日が落ちて暗くなったあたりに行う神社が多いようです。

 

 

 お多福の門の準備をされていた方にお声をかけたら、宮司さまでした。

 迷惑な参詣者にいやな顔一つ見せず応じてくださったことにご縁を感じたことでした。

 「あの~、あそこ(掲示板)に書いてある古事記の冊子は頂戴できますか?」

 「ああ、あれですか。あれはお一人ずつお話してるんです。今日は忙しいから、また日をあらためて電話してください」

 ええっ。いいのかな。こんなにものを知らない者にもお話してくださるのかな?

 日本の成り立ち、神道のこと、大祓(おおはらえ)の詞の意味。

 そんなことを教えてくださるそうです。

 この年になってやっと、この国の形を勉強できる機会を与えられました。

 明日から始まる新年が、ことのほかありがたい年になるように思えてきました。