満月も、昨晩のいざよいの月も雨雲に隠されて観られずじまいとなりました。
観月日和だったとしても見逃すことが多いくせに、雨に隠されたことを言い訳にしてして惜しむ凡人です。
それにしても、昨晩の雷雨の激しかったこと。
春分の末候に「雷乃発声」(かみなりすなわちこえをはっす)とありますから、先人の観察通りになりました。
五行では春は「東」であり「雷」をさしますから、暦通りの春の幕開けになったことに安堵も覚えるところです。
雨上がりの静寂な空に、ウグイスの「ホーホケキョ」が響き渡りました。
その声に誘われて外に出てみたら、雨粒が木々から滴り落ちる音が聞けました。静寂な空間を独り占めしたような感覚。雨上がりの静けさを味わい尽くしたことでした。
さて、この「春雨」は、晩春に降る雨を指す季語でもあります。晩春は3~4月ですから、ちょうど今頃降る雨のことです。
花や木の芽を育み、しとしと降り情緒ある雨。ロマンチックな物思いに浸ることのできる静かな雨とされています。
さらには、この雨が上がれば、一斉に花が咲き、緑が萌え始めるという明日への期待がすべての人の胸に芽生える雨です。
予報では、明日は春驟雨が一段落ついて、晴れ間も拝めるそうです。
春雨や暮れなんとしてけふも有
蕪村
俳人はさすがです。曇天続きでうつうつしていた気持ちは、此処にあったのです。
いつ明けて、いつ暮れるのか。はっきりとしない朝夕。明日は夕焼け空を見に行こうという希望が、気持ちを晴れさせてくれます。
予報の続きには、低気圧通過後は北よりの風が強くなり、気温が低下します。と。
皆様、不順の候、お大切にお過ごしください。
追伸
「三月の風と四月の雨で
五月の花が咲く」
春が凝縮されているような言葉です。