こころあそびの記

日常に小さな感動を

海外出張

 

 お昼前から晴れ上がってきて、真っ青な空に満ち溢れる光が目に沁みこんで痛いほどでした。

 ご近所のお庭のシデコブシが満開です。“シデ”は「紙垂」のこと。花びらが細長く伸びている様子から名付けられ、別名を「姫こぶし」ともいうそうです。

 優しさを感じる花をシンボルツリーに選ばれた家主さんのお家愛は推して知るべしです。

 

 

 息子が4月にフランスへ出張すると聞いていたので、あの御守りをもらいに行かなくちゃとずっと頭の片隅にひっかかっていました。

 今日の晴天。今日を逃す手はないと、行ってまいりました。

 こちらの神社は方違いの厄除け守りに、飛行機、鉄道、車の絵が織り込まれたかわいらしい「旅行守り」を授けてくださいます。

 孫が入園するので、彼の分と二ついただいてまいりました。帰り道で、いくらなんでも四十過ぎの息子には恥ずかしいかもと気づきましたが、後の祭り。

 ま、いいか。どんまいどんまい。

 御守りの中の神様は同じだもんね。

 

 

 私自身はヨーロッパに縁がなくて行ったことがありません。が、アメリカには3回ほど行ったことがあります。

 最後に行ってから、もう二十年も経つかもしれません。

 近頃、街に出る度に、日本の街がかつて訪れた頃のアメリカの街とそっくりになってきたことを感じます。

 ブランドのお店が立ち並び、ショッピングモールにはいろんなお店が入っています。あの頃のアメリカの街そのものです。

 いつか、梅田に空が青空や夕焼けに変化するショッピング街ができたとき、ここはラスベガスかと笑ってしまいました。真似っこ上手の日本です。

 ですが、今は外国に行きたいとはちっとも思いません。というか、昔、抱いた外国に憧れる気持ちが失せてしまったようです。

 

 

 アメリカが憧れの地でなくなったように、ヨーロッパも昔のイメージからかけ離れた現実を抱えていると聞きます。

 世界の潮流が大きくうねり始めています。

 一昔前は、海外出張といえば羨ましがられたものなのに、今や、できることなら行かないでと、足を引っ張りたくなるご時世です。

 老婆心で、若人の足を引っ張ってはいけないと思い直して、せめて御守りを持たせようと思ったわけです。

 この御守りがどうか彼を守ってくれますように。母の切なる願いです。