こころあそびの記

日常に小さな感動を

乗り鉄

 

 孫が宿泊学習に出かけて心に余裕ができたのか、アリーナに行こうと娘から誘われました。珍しいことです。

 いつも娘が嫌っている茅(ちがや)の白い穂の群が、夕陽の逆光を受けて輝いていました。「こんなところで見ると、きれいやね」とご満悦。

 他にも、彼女と一緒だから発見できたことがありました。

 

 

 それは、ずっと植えっぱなしの巨大化した大根です。

 種を取るために残しておられるのだろう、くらいに思って見過ごしていましたが、よく見ると莢ができています。

 その中に種が入っているなんて昨日の昨日まで、娘に教えられるまで知りませんでした。

 ものを見る目は多い方がいいと言います。自分に興味のないところをすっ飛ばして見てしまうのは、人の習性ですから仕方がないとはいえ、お恥ずかしいことでした。

 いつもと同じ道なのに、新しい発見と出会いに刺激された散歩でした。

 

 

 今日は外孫の誕生日。

 散歩がてら、乗り鉄がしたくて出かけてみました。

 大阪駅には、神戸線遅延の掲示が。

 それが頭にあったもんで、7番ホームの京都線に赤文字で「遅延」と出ていたので、うっかり乗ってしまいました。

 子どもみたいに、電車に乗ってるだけでうれしい質ですから、ルンルン気分で車窓を見てました。

 ところが、茨木を過ぎたあたりで、ようやく「はて?」と寅ちゃんの決めセリフが。

 いゃだ。西向きに行くところ、東向きに乗ってるではありませんか。

 こんなとき、急ぐ旅ではなく、時間も有り余っている老人は幸せです。

 高槻駅で西向きに進路変更して、三宮に向かいました。

 

 

 お尻に根が生えるほど、長らく座ったものですから、三宮から歩くことにしました。

 途中の看板に、この道は旧、西国街道掲示されていました。

 そうなんです。この息子は我が家から西へ西へと西国街道を進んだところに住んでいたことを知りました。

 たまたまではありましょうが、巣立っていった子が、親との縁を断ち切らずに居てくれたことは、どこかうれしいものでした。

 

 

 ささやかなプレゼントを渡したあと、今度は、阪神線で帰ることにしました。

 企業努力で、JRは電車も駅構内も昔とは雲泥の差となりました。

 それに比べるのは酷というものですが、阪神の各駅は、昔はこうだったという雰囲気です。ただ一駅、「甲子園」にはびっくりしました。一時に何万人も捌くだけの番線の数が、試合直後の賑わいを感じさせました。

 そして、昼間から、タイガースのユニホームを着た応援団らしき人々が降りていかれます。ウエスタンリーグのお話をされていたから、きっとデイゲームがあるのでしょうね。

 甲子園を出たら、武庫川女子大学兵庫医科大学を右に見て、神崎川や淀川の河口を遠くに見ながら、帰ってきました。

 六甲の裾野を走る阪急とは、一味ちがう旅が楽しめました。

 乗り鉄。頭の体操にもなり、気分も変わること請け合いです。おばあさんが、そんな気持ちで乗ってるなんて誰にも知られないところが、小気味よいといいますか。(笑)