九星は、一年に二回、逆回転します。
それは、陰が極まって陽に転換する日と、陽が極まって陰に向かい始める日です。
前者を陽遁。後者を陰遁といいます。
2024年の陰遁始めは、夏至に最も近い甲子の日と定められた本日です。
地上ではこれから夏が始まろうとしていますのに、天上では最早、夏至という陽の極点が過ぎて、陰に向かい始めるたということです。
陽は活動。陰は休息。
とすると、今からは、気持ちを落ち着けてゆったりと過ごす期間に入っていきます。
今日から、9、8、7・・と逆回転させる九星学を考えた古代の占い師は、偉大な科学者です。
ギラギラの太陽に惑わされないようにと戒めているのでしょうか。
ともあれ、炎暑に気をつけて過ごしましょう。
甲子(きのえね)という干支の始発日である本日。陰遁には申し訳ないけれど、朝から万博公園日本庭園の蓮池観察会に行ってきました。
朝早く、六時半からゲートが開くと同時に、池の周りは賑やかしいことになっていました。
それは、見物人に負けないパワーで見事に咲いた圧倒的な花の数だったように思えました。
一緒に行った友人曰わく、レンコン畑の花は白一色だと。
ここに集まった人々が魅了されているのは、天上を思わせる花の色ではないかと話し合ったことです。
広い池一面に咲いた蓮の花は圧巻でした。
そして、その中の所々に咲く睡蓮。少しずつ目覚めて数が増えていくのも楽しいことでした。
橋の上でカメラを池に向けておられる老女にお会いしました。
「カメラは長く?」
「仕事をやめて、70歳くらいから」
「失礼ながら、おいくつでいらっしゃいますか?」
「85歳」
「ええっ!」
「足を傷めたから、重い望遠がもてずに、これで・・」
そう言われて初めて、彼女が歩行器を押して撮影されていることに気がつきました。大好きなことがある。それが、どれほど気持ちを奮い立たせてくれることかと、こちらが熱くなってしまいました。
彼女がカメラマン目線で教えてくださったことがありました。
「今日は葉っぱの上の水玉がきれいでしょ。朝方に雨が降ったからよ~」
けさ限定の雨粒が葉脈に沿って並んでいる様が、彼女にお会いしてから後は、より輝いて見えたことです。
その後、出発したころの梅雨空は、みるみる晴れ渡って青空になりました。
写真に見える畑はひまわりが植え付けられています。
これだけの花の中に立てば、ソフィアローレン気分になること間違いなし。また、訪れたい万博公園でした。
帰りのバス停でバスを待ったのですが、待てど暮らせど全く来る気配がありません。
前に並んでいた女性は具合が良くないと家族に連絡されるまでになって、この季節の怖さを思いました。(バスの中でも、ぐったりと顔を伏せておられました)
バスがようやくやって来たのは、予定時刻を20分も過ぎていました。
降車予定の停留所が近付いたので、運転手さんの横に立っていたら、あちらから話しかけてこられました。
「茨木でサッカーの試合があったみたいで、満員になってしまって。また、降りる時には殆どの人が両替するもんで、すっかり時間取ってしまいました」
「それは、たいへんでしたね。今日一日分お働きされましたね」
誰かに聞いてほしかったのですよね。聞いてもらうだけで気持ちが落ち着いたかどうだか。
「いや、今からなんです」
まだまだ乗務が続くと泣き言を漏らされた、運転手さんでした。
どうか、今日一日、ご無事で安全運行なさいますよう願って、バスを降りました。