こころあそびの記

日常に小さな感動を

夏至

 

 ついにやって来ました。今日は「夏至」です。半夏生が茂り、蓮の花咲く季節です。

 

 

 庭の八重のクチナシが甘い匂いを漂わせて開いては、褐色に変色していきます。

 一重がしばらく咲き続けるのと比べると、八重であるばっかりにと、少しわびしくなります。

 

 

 本日の大阪の日の出は4:45です。

 

 夏の夜はまだ宵ながらあけぬるを

 雲のいづこに月宿るらむ

      清原深養父(百人一首)

 

 昔の人が、早くに明けていく自然と親しくしていた様子が読み取れます。

 

 そこで、現代の国立天文台の記録から、本日の「日の出日の入り時刻」を調べてみました。

 気になる知床羅臼の日の出は3:36。大阪より1時間以上早いのですね。

 不思議に思ったのは、日の入りです。

 羅臼の日の入りが、19:06であるのに対して、石垣島の日の入りは19:34です。

 ちなみに、石垣島の日の出時刻は5:55です。

 東から明けるのですから、羅臼の日の出が早いのは、老化脳にも理解できるのですが、問題は日の入りです。

 2時間近く、日の出時刻に差があるのに、日の入りはたったの30分違いです。

 どうして?なぜ?

 緯度や経度が関係しているみたいです。

 

 

 難しいことはパスして、この知床の白夜を歌った『知床旅情』の歌詞を思い出しました。

 「はるか国後(くなしり)に白夜は明ける♪」

 戦争中、満州にいた森繁久彌さんは、はるか東の海上に浮かぶ国後島の島影が白々と明けていく光景と、その背後に広がる空の色の変化を眼裏に焼き付けておられたのでしょうか。

 同じ大阪出身者として、その感性をうれしく思います。

 知床は私にとっても、学生時代の思い出の詰まった土地です。どうか、いつまでも平安でありますように。

 

 

 さて、知床の今日の昼間時間は、15時間28分です。つまり、夜時間は8時間半ほどありますから、なんとか夜を過ごすことができます。

 しかし、もっと緯度が高くなると、「沈まぬ太陽」の白夜となります。

 カナダ、バンクーバーに行ったとき、9時過ぎでも明るくて、町中に鹿が闊歩していました。

 ホテルでは、遮光カーテンをしっかり閉めないと眠れない経験もしました。

 昇ってうれしい、沈んでうれしい太陽。

 昇沈を繰り返す太陽。これを、古代の人々は再生の象徴とみました。

 太陽は、自然界の王者です。

 再生を繰り返すことができる生命力。循環し続けるエネルギー。

 地球上のすべての存在は太陽のおかげで生きることが叶います。

 

 今年の暦の陰遁は、7月5日です。

 どんなに地上で猛暑が続いたとしても、この日を境に、天は陰陽の“陰”に向かいます。それは、冬至まで、陰の底を打つまで続きます。

 今日という日の陽の頂点を、思いっきり甘受いたしましょう。