こころあそびの記

日常に小さな感動を

空との対話

f:id:snowrumirumi:20220107195415j:plain
 

「天気予報士」になりたい女の子が、ラジオの天気予報士の方に、どうしたらなれますかと尋ねていました。
 「あなたは、空を見るのが好きということだからがんばってね」と伝えた予報士さんが続けてお話されたことに、耳をそばだてました。
 「今日はガリレオ木星の4つの衛星を発見した日です。彼はそのことから、地動説に確信を持ったと言われています」と。
 宇宙ステーションや月へ旅行できる時代になっていますが、天体に飛んでいくどころか、手作り望遠鏡で空を毎日毎日眺めて観察して計算して、深い真実を発見した昔の人の気概に頭が下がります。
 更に、当時は口外が許されないほどの発見を確信を持って、発表した勇気にも拍手です。自分たちが住む地球が世界の中心であると信じていたキリスト教会の大反対を受けながらも、否、地球が太陽の周りを回っているのだと言い切るには、人間としての強さが必要です。
 大きな転換点があったから、その後の科学を進化させました。すごい先人たちのおかげで出来上がった今に感謝です。
 
f:id:snowrumirumi:20220107201749j:plain

 脱線しましたが、気象予報士への第一歩は空の姿、雲の様子を観察する事から始まるようです。
 「今日の形のはっきりしない雲が冬の雲、夏の雲は形がはっきりしてるでしょ」
 そんな説明を聞きながら、今朝の東京の大雪のことを思いました。
 少し前までは、なぜ大雪になったのかという解説にある南岸低気圧なんて言葉もなかったし、風の動きを表すCGも見られませんでした。
 そういうことは、人間の五感が担うものでした。南からわく雲の様子や風の方向から天気を読むことに長けておられたのは、なんといっても命に関わる漁師さんではないでしょうか。
 それと、昔は、殆どの人が農業に携わっていたこともあって、その土地の人に聞けば、天気の次の進行は分かるものでした。
 都会育ちの私も含めて、自然を身体で読める人間が減っていくことには、一抹の不安があります。

 防災という言葉で準備をする事は大切に違いありません。しかし、一人一人の五感が緩んでいては太刀打ち出来ないところもあるように思います。
 といって、何ができるわけでもありませんが、せめて空を見上げてお天道様に祈ることは続けていきたいと思っています。
 
 今年は阪神大震災から27年。
 あの日の朝の雲の色は忘れません。それを語り継いでゆくことくらいしかできません。それほど、自然は畏れ多いものだということも忘れてはなりません。

f:id:snowrumirumi:20220107202140j:plain

山よりも高く海よりも深いもの

f:id:snowrumirumi:20220106165919j:plain

 あれは、もう一昨年公開の映画だったのですね。
 孫たちの付き添いで入った映画館で『記憶にございません!』の予告編を観てしまったものですから、もう観たくて観たくてたまらなくなって、公開と同時に足を運びました。
 三谷幸喜さんという方は非凡だなぁと感心します。
 政治の世界なんて、虚実ないまぜのものすごいところでしょうに、それを笑い飛ばす作品に仕上げるとは恐れ入ります。
 たった一つの実在総理の「記憶にございません」を、「これだ!」と記憶に留めてあたため続けるエネルギーに脱帽します。
 事実を、そうそうそうだよねというお笑いに書き変えられるなんて、本当に面白い。さすがです。
 それを真面目に演じる主役に中井貴一さんを持ってこられたこと。そして、見事にその任に応えられた彼にも成長の跡を見ました。いい役者さんになられました。当初、お父様を越えられなくて悶々とされてたようにお見受けしましたのに。
 
f:id:snowrumirumi:20220106170041j:plain

 近頃、テレビ、新聞は鎌倉幕府三昧です
 それは、今年の大河ドラマの舞台ですから宣伝もあるでしょうし、乗っかってみようという思惑もあるはずです。

 「大海の磯もとどろによする波
 われて砕けてさけて散るかも」

 鎌倉時代といえば、悲運の三代将軍実朝の歌しか思い浮かばない歴史音痴です。

 それでも、この時代を三谷幸喜さんが描かれるのであれば、観てみたいと思っています。
 暮れの『紅白歌合戦』の審査員に出演された小池栄子さん。司会を勤められた大泉洋さんとの丁々発止のやり取りに、台本があるにせよ笑わせてもらいました。
 小池栄子さんといえば『THE有頂天ホテル』の名優です。三谷幸喜さんはこの女優の力量を見極めて北条政子に配役されました。鎌倉の要です。
 承久の乱の折に御家人たちに放った名文句。

 「頼朝公のご恩は山よりも高く海よりも深い」

をどのように演じるられるのか、本当に楽しみです。

f:id:snowrumirumi:20220106170117j:plain

 昨晩仕入れたネタですが、北条義時は、人に安心感、信頼感を与えるこのができる人柄だったのではないかという解説になるほどと思い至ったことがあります。
 娘からの情報では、義時を演じる小栗旬さんは、現場の人たちからの好感度の高い方だそうです。
 三谷幸喜さんの卓越した配役術を感じます。
 この二年間、みんなの笑顔が減っています。抱腹絶倒のドラマで笑わせてください。お願いします。

不易流行のバランス

f:id:snowrumirumi:20220105185730j:plain


 朝刊の「朝の詩」に子どもの詩が載る日は気持ちが和みます。
 今朝も、「おいたん、おいたん」とお兄ちゃんを呼ぶ2歳の坊やの詩が掲載されていたので嬉しくなってしまいました。
 というのも、我が家にも「~たん」が2人います。
 同居している孫は3人で、上の男の子と一番下の女の子がいまだに「~たん」で、真ん中の男の子は「~ちゃん」です。
 上の孫が生まれた頃は「ノンタン」シリーズが流行っていました。「ノンタンのクリスマス」などは、どれほど読んでやったことか。懐かしいことです。
 朝刊の坊やも「ノンタン」知ってるのかな?
 それとも、「~たん」は子どもが発音しやすい言葉なのかな?
 「ママ!」と呼んで振り向かせたい、というように、子どもの言葉の獲得は、呼びかけたいもの順のような気がします。
 幼少時の目標に真っ直ぐな熱い思いは、この先ずっと大人になっても続いて、いのちを動かす根源であり続けます。

f:id:snowrumirumi:20220105183737j:plain

 今月号の「致知」に箕面自由学園の校長先生が取り上げられていて驚きました。
 我が家の隣ともいえる場所にある学校で、「あんた、見て!あそこの学校の子はみんな足が長いなぁ。毎日あの坂道を上ってるからかな」と母が感心していたことを思い出します。
 その昔、まだ、あの坂道が赤土の泥道だったころから知っている者としては、どんどん整備されていく学園に目を見張るばかりです。
 その校長先生ってどんな方なんだろうと興味深々で読ませてもらいました。
 あの経営者は、ただ者ではないとは想像していましたが、やはりMBAを取得されていたのですね。しかも、他業種からの転向組。
 教育は一本調子では適わない時代になりました。
 教育学部出身というだけでは先生が勤まらない時代です。
 中高生ともなると、デジタルネイティブの彼らのほうが上位という時代になっています。上下関係を重んじた私達の親世代なら信じられないことが教育現場で起こりつつあるのです。
 地球上のすべてのシステムに変革が迫られている。そんな時代の学校経営は、明日を待てないスピード感が必要なだけに、校長先生のお仕事は大変なことと思いました。
 その中で、「不易」という変わらないものと、「流行」という時代の変化についていくという2つを意識されている校長先生がいらっしゃることに安心いたしました。
 進化論のダーウィンは、「変化に適応したものが生き残る」と言っています。彼の発見した真実は時代を越えて生き続けてきました。
 21世紀の変革の時代にも、永遠の真実を見つける子どもがきっと出てきてくれると期待しています。
 この変化の波に乗って生まれてきた子どもたち。乗り遅れないようにがんばる親世代。しがみつくのが関の山の老人。
 力尽きるまで手を離さないで生き抜きましょう。

あなたを応援するいのちの力

f:id:snowrumirumi:20220104184427j:plain

 本に囲まれていると安心する質ですが、手元に本がなくても勉強できる便利な時代になりました。ネットは怖い一面もありますが、役に立つツールであることに違いはありません。
 ちょっと時間が空いたので、ネット徘徊してみましたところ、自分好みの意見をお持ちの先生の講義を拝見することができました。
 多様性を大切にする昨今ではありますが、同じ方向を見ている人が居ると思うだけで勇気がもらえます。
 
f:id:snowrumirumi:20220104182836j:plain

 体は自分にとって一番よい調子をキープしようと働いています。
 それは、調子を調えるのは服薬に頼るという生き方とは異なる考え方です。
 例えば、骨が折れたとき、薬は痛みを止めるという対処しかできません。体の中に入って、トンカチを奮ったり、セメントで固めたりして治してくれるこびとさんがいるわけでもありません。
 骨をくっつけてくれるのは、自分の体であることを意識できる人は、その思いが患部に到達して順調に治ることでしょう。

 どこの部位の異変でも体の治癒力が発揮されるのは同じことなのですが、特に目で見えるという意味で整形の先生が実感されることが多いのではないでしょうか。
 湿布と痛み止め薬の処方しかお手伝いできないことにジレンマを持たれて、手術の方法が進化しています。
 そう思いながら、徘徊していたら『100年足腰』という本を著された巽一郎先生に行き当たりました。
 「自分の体は自分が治す」というご意見をお持ちで、うれしくなりました。
 大人気の整形外科医でいらっしゃるそうで、今まで沢山の患者さんを診て来られました。その臨床経験から、膝痛が手術しなくても治る人を実際に診られて、体が治そうとしていることを実感されたそうです。
 もちろん、体重コントロールや簡単な体操は指導されますが、それだけで多くの人が改善されるそうです。
 
f:id:snowrumirumi:20220104182946j:plain

 私も数年前に膝痛を発症して、泣きたい日々を過ごしました。しかし、今現在、痛みはありません。どこかの名医にでも?いいえ。日にち薬で治ってしまいました。
 だからこそ、声を大にできるのです。

 病気のときも、健やかなるときも、体は日夜、不眠不休で働いて、老廃物を集めたり、不具合を元に戻したりしてくれています。当人がスヤスヤ眠っているときに、遺伝子の読み間違い箇所の修正までしていることをご存知ですか。

 こんなに自分のために働き続ける体に感謝です。
 ほめるには、ただほめるだけでは伝わらないと今朝のラジオで聴きました。労って、それから感謝するとよいそうです。
 
 朝、目が覚めたら「気持ちよく目覚めさせてくれて、ありがとう」。
 トイレに入ったら流す前に「夜中に働いてくれたんだね。ありがとう」。
 がんばってくれている自分の体にありがとうと伝える習慣が、元気なあなたを応援してくれます。

お・も・て・な・し

f:id:snowrumirumi:20220103101355j:plain


 実は、昨日、始発電車に乗ってお伊勢さんへ初詣に行ってきました。
 去年は、コロナ騒動真っ只中だったので、断念しましたが、今日なら行ける!と思いきりました。
 生駒山に向かって走る車窓からは、日の出が迫っているしるしを知らせる曙色の空に、穏やかに波立つ雲が映えていました。
 この時刻に東に進む幸せを十分に噛み締めたことでした。

f:id:snowrumirumi:20220103110420j:plain


 外宮前の「月夜見宮」(豊受大神宮別宮)から参拝。大きな楠が迎えてくれました。早くから、落ち葉を掃き清めてくださっている方にお伺いすると、樹齢は四百年とも五百年ともいわれていますと教えてくださいました。
 朝の光が楠を通して射してくる雰囲気がお宮に満ちていました。

 内宮では、いつもは静かな「風日祈宮」にも参拝者が見られました。風日祈宮橋を渡った先に宮名通りの愛すべきパワーが待っています。
 外宮、内宮、両宮にある風宮は元寇の神風への貢献から別宮に昇格したそうです。日本を守る風だったんですね。なのに、なぜ近頃は暴風が多いのでしょう。屋根を飛ばされた経験をした私は、つい恐ろしい方を思い出してしまいます。
 どうか、優しい風を吹かせて下さいとお祈りしました。

f:id:snowrumirumi:20220103110456j:plain

 参道では、外国語も聞こえて来ました。
 外国の人は、この何もないただただ清冽な空間をどう思われるのでしょう。
 観光地といえば、例え宗教施設であっても、何か厳かな建物があるのものです。それらが全くない空間を心の故郷とする日本人の理解に繋がったなら、嬉しく思います。
 
f:id:snowrumirumi:20220103110330j:plain

 最後に、「月読宮」(皇大神宮別宮)にお参りしました。
 ここの参道がまた素敵です。森の中に私一人の玉砂利を踏みしめる音が響きます。大きな音を立てないようにと思いながらの参拝でした。

 それから、是非、ご報告したいのは、おかげ横町の皆様の対応です。しばらく見なかったほどの大勢がどっと押し寄せたにもかかわらず、どの人も最高のホスピタリティー精神で迎えてくださいました。
 さすがに、天照大神の元でお仕えする方々だと感心しました。
 考えてみれば、私たちはみんなそんな日常を送らねばならないのに、忘れがちです。それを思い出させて下さった“おかげ横町”の皆様ありがとうございました。

「初釜」と「書き初め」

f:id:snowrumirumi:20220102200418j:plain


 お正月といえば「初釜」と「書き初め」ですね。

 その真似ごとを、子どもたちが子育てに忙しくなるまではやっていました。

 今年は、誰からともなく、「やってみよう!」「何年ぶり?」と言い出して、まずは「初釜」体験から。
 なんて、うそですよ。たまたま、寅年の干支茶碗が残っていたので、そんな無謀な話になりました。
 買った年さえ忘れた寅年のお茶碗です。それがこんなことで、みんなのやる気を出させるなんて、当のお茶碗が一番びっくりでしょう。
 なんやなんや!なにをするねん!急に引っ張り出されて、猛烈にグリグリされて、扱い方も何もあったものではありません。
 千利休さんに確実に叱られそうです。
 それでも、オーディエンスの喝采を浴びて、茶筅が折れるくらいにかき回して無事にいい具合に点てられたお茶は、思いのほか美味しくて、みんなの笑顔がはじけました。
 お抹茶が上等だったから、どう入れても美味しくなることは、内緒です。
 
f:id:snowrumirumi:20220102203537j:plain

 お茶の次は「書き初め」です。

 孫の書道用具を持ち出して準備は直ぐに整いました。
 しかし、誰も先陣をきる勇気がありません。筆を持つのは何年ぶりという人ばかりですから当然のことです。
 「最初はグー」とじゃんけんで順番を決めて、スタートしました。それぞれ、何書こう?と悩みながら、一瞬に胆力を込めます。
 こういうのは、集中力を結集する一枚目が佳作になると、書道の先生に教わったことがあります。
 どうでしょう?今年の目標が一目瞭然で、リビングがなにやら華やいで楽しい空間になりました。
 
 この書を見る度に、今年一年、どんな事があっても耐えられそうに思える笑顔のお正月です。

雪がちらつく元旦に

f:id:snowrumirumi:20220101180409j:plain


 あけましておめでとうございます

 除夜の鐘の音が響き始める頃に若者たちは初詣に行ってしまいます。
 私は、彼らに年越しそばを振る舞ったら、そこで力尽きるようになってしまったため、お付き合いができなくなりました。
 ですから、朝の初詣です。
 新年早々の初詣を済ませた遅起きの家族が多いのでしょう。境内は朝の光の中で静まりかえっていました。
 その厳かさは、ちらつく雪で更にいや増しているようでした。
 うっすらと雪に覆われた大地に初陽が射して、金色や銀色にキラキラ輝く様子が見られて、それだけで嬉しい初参りになりました。

 「新しき年の始めの初春の
  今日降る雪のいやしけ吉事  大伴家持
              万葉集 20巻 4516

 「雪」は降る雪という意味のほかに、そそぐ、清めるという意味があります。
 それは、ヨの部分が彗=“ほうき”から成っているためといいます。(彗星=ほうき星ですものね)
 万物を掃き清め、すべてを真っ白に覆ってくれる雪は、確かに心を神聖な状態に近づけてくれる力を持っています。
 家持の歌には3つの吉兆が含まれています。雪が豊年の瑞祥であること。新年であること。歳旦立春であること。
 家持が雪のことを賞賛してくれるから、彼の歌が好きなのか、歌の心に魅力を感じるから彼に寄り添いたくなるのか。どっちが先か分かりませんが、大好きな「雪」から始まった今年、家持の予言通りに良い事がいっぱい重なりますようにと、手を合わせたことでした。

f:id:snowrumirumi:20220101185832j:plain

 蛇足ですが、「会稽の恥を雪ぐ」というのは、越王、勾践(こうせん)が「臥薪嘗胆」で20年の屈辱に耐え、呉王、夫差から名誉を回復する、中国春秋時代のお話です。
 これは、宝塚歌劇轟悠主演「愛燃ゆる」で題材にされました。彼女の渾身の演技に夢中でした。
 その轟悠さんは「雪組」でした。
 お元気にお過ごしでしょうか。