知らなかったことを教えてもらうことは、いくつになってもうれしいことです。
昨日までその横を通っていたにもかかわらず気付かずにいたことを、誰かに教えてもらったために気にするようになると、一つ世界が広がります。
私にとっての柳絮もその一つです。
府大の校内にはたくさんの種類の木が植わっていて贅沢な空間です。なかでも、大きなポプラの木が高いところで風に吹かれてならす葉ずれの音を聞くのが好きでした。
ある日、休憩時間に外に出てみると、白いものがふわふわ舞っていました。初めて見る光景にも思えるけれど、どこかで見たことがあるようにも思えます。
うれしくなって大形先生に訊ねたら、それは柳絮ですよと教えてくださいました。
そういえば。この北京名物は中国ドラマの中でもよく飛んでいます。撮影をストップしないことに驚きもしますが、飛んでいることが気にならないくらい大量に飛ぶのが大陸なのですね。
仲春の今、私は柳絮が飛ぶ瞬間を楽しみに待っています。雪のようにあたり一面に舞う様子は夢のようです。
この前の日曜日に、どうかまだ飛んでいませんようにと近くの柳を見に行ったら、すっかり膨らんでいました。あと何日かで飛び出す勢いです。次の日曜日までどうか飛ばないでとお願いして帰ってきました。
「とらえたる柳絮を風に戻しけり」稲畑汀子
飛ぶ瞬間に出会って、つかまえて風に放したら、子供のころにもどれるかな。