春雪の
いましがた降り
いまは止み
春の雪にあいました。
冷たくて強い風が、道路の上で雪を踊らせていました。
セーターにくっついた白い恋人がうれしくて、なんとか持って帰りたいという願いも虚しく、すぐに白雪は消えていきました。
それでも、ひととき夢見心を味わえたのは雪のおかげ。
そう思って句集を繰って、たくさんの俳句の中から、私が見たのと同じ春の雪を再現した一句を選びましたら、なんと、作者は後藤夜半さんでした。箕面大滝を詠まれた方です。
滝の上に
水現れて
落ちにけり
見納めの鴨たち。
かわいい!
これは、「カラスの行水」。
よりにもよって、どうしてこんな寒い日に?
ヒドリガモのつがいでしょう。この子のおく目もかわいいですよ。
植えっぱなしのチューリップが、今年も芽を出しました。
こちらも、植えっぱなしのクロッカスです。
自然の循環に合わせて、生きてる姿に励まされます。
森本哲郎さんの『信仰とかたち』を興味深く読みました。
インド北西部にあるガンダーラは、ギリシャの植民地だったことがあったそうです。ギリシャ文明といえば、ミロのビーナスに代表されるように、かたちの文明です。
それまで、偉大なる仏にかたちを与えることは、神への冒涜と考えられていたインドに、ギリシャ文明が流入したことで、仏像になり中央アジアに出て行きました。
もし、かたちがない仏教なら中国に、受け入れられたかどうか。
人間の奥底には、「かたち」への欲求があると書かれていました。
今、春への準備が着々と進んでいます。
人間は疎いものですから、かたちで示してもらわなければ、それと理解できないところがあります。
神様はそんな人間に「春」をかたちで見せようと、あらゆるものたちを総動員して下さっているように思います。
天、太陽、月、星、花、草木、山、川。
自分だけの小さな発見に感動したら、それが血肉となって、体を駆け巡ることでしょう。それが、元気の源です。
心の底に潜むかたちと色を探しにでかけてみませんか。