雪舞う朝、孫たちを凍えながら見送りました。
強い春北風が吹き付けて、雨戸の戸袋をガタガタと揺する音が鳴り止みません。一旦、ゆるんだ体には堪える寒さでしたが、一方で、何年も生きてきて、季節はこんなふうに巡ると知っていますから、いよいよ始まった春への移行が楽しみでもあります。
『早春賦』には、春を前にして自然や人間が足踏みする様子と期待感がうたわれています。
『早春賦』
春は名のみの風の寒さや
谷の鶯 歌は思えど
時にあらずと声もたてず
時にあらずと声もたてず
氷解け去り葦は角ぐむ
さては時ぞと思うあやにく
今日もきのうも雪の空
今日もきのうも雪の空
春と聞かねば知らでありしを
聞けば急かるる胸の思いを
いかにせよとの この頃か
いかにせよとの この頃か
鳥にも、空にも、人間にも、季節の不順さに戸惑う様子が見えます。更には、作詞者の吉丸一昌がインスピレーションを受けたという信州、穂高の浅い春の景色が眼前に広がっていくような心地がしてなりません。
美しい季節のめぐりが変わらずに続いていることをありがたく思います。
さて、今朝、ある女性が土佐犬に襲われ重傷を負ったというニュースを観て、胸が痛みました。
その恐怖がトラウマになって、不眠症や拒食症などの不調が現れているといいます。
この女性が、もし犬嫌いだったら起こらなかったかもしれないという思いが余計に本件をつらくさせます。たまたま公道を歩いている犬を見つけて、車道に出て車に轢かれはしないかと心配してついて行ってしまったというコメントは犬のことを慮っての言葉でした。
犬好きだったばかりに、とんだ災難に遭われた女性と、脱走しているなんて思いもよらなかった飼い主さん。
愛犬家のお二人です。ここは、女性に対して、誠意をもって謝罪するしかないと思われます。なんとか和解して、女性が一日も早く日常生活にもどられることを願っています。
犬の話題に心が振れたのは、きのう、我が家のわんこに一騒動あったからです。
きのう、娘がわんこをシャンプーしていたら、犬がシャンプー台から飛び下りて、腰が抜けた状態になってしまいました。
骨折させてしまったというショックから、娘は私を呼ぼうと必死に叫んだようですが声が届かないくらいの慌てようでした。
直ぐに、動物病院に運び込んで診てもらいましたら、レントゲン検査に異常箇所はなく、骨折は免れたと一安心したことです。
一週間安静といわれていますが、動物にそんなことができるわけもありませんから、いつもと同じように立ち上がろうとするのを止めさせるのに一苦労です。
ですが、それができるということは少しずつ良くなっている証拠でもあります。本当に具合が悪ければ、動かないのが動物本能です。
野生動物は病気になったり怪我をしたら、じっとしている、と云います。
自分の体は自分で治すという原則を知ってのことでしょう。
人間は、これができなくなっています。やれ医者だ、薬だ、鍼灸だ、と訪ね歩くようになってしまいました。
でも、病気は自分の体が治そうと最善を尽くすから回復するのです。
誰かに治療してもらうのではなく、自分に治す力が備わっているということを信じられる人でいたいと念じています。そこが感謝の在り方だと思っているからです。