こころあそびの記

日常に小さな感動を

精霊と蜂

 

 なんだかんだ言っても、やっぱり青空は気持ちいいなぁ。と両手を空に向けて伸びをしたら、その瞬間、ツバメが過りました。

 どこか近くに巣作り始めたのでしょうか?

 その後も、こんな小さな水たまりに何度もやってきます。赤い頬に燕尾服。可愛いったらありません。

 口いっぱいに泥を運んでいきます。バードウィークでしたね。お疲れさま。

 

 

 今朝の『朝晴れエッセー』は六十代の男性が書かれた「藤の花」と題する素敵なストーリーでした。

 

 季節が足早やなので心配しながら、去年見た藤棚に行きました。

 まだ咲いていたことが嬉しくて、夢中でシャッターを押していたら、スーパーマンに出てくる俳優さん、クラークケントみたいな眼鏡をかけた子どもが話しかけてきました。

 「ハチが飛んでくるから気をつけて」と。

 帰宅後、ふと、あの子は藤の精霊だったのではないかと気づいて、心の中に温かいものが広がり満ち足りた気持ちになりました。

 

 それだけなんですが、日常にありながら味わえる非日常感を好ましく思ったことでした。

 精霊という単語を知ってるだけで、人は夢を見ることができる。ということは、使いようによっては、いのちの領域を拡大してくれるのが言葉なのではないでしょうか。

 夢見心地になれる言葉を集めるのも、一つの養生法と知りました。

 

 紫藤の露の底に 残花の色あり

 翠竹の煙の中に 暮鳥の声あり

    平安中期の漢詩人 源相規

 

 

 そこで、私も、遅ればせながら、藤を見に行ってみようと思い立ちました。

 あそこと、あそこと、・・候補地を上げ連ねるうちに、うろ覚えの藤棚が思い浮かびました。

 あそこなら、仕事前に寄れる絶好の場所。確証がないまま、急ぎ足で行ってみました。

 

 ありました!

 地面に花びらを散らしながらも、まだ、樹上に残花の色があったのです。

 ありがとう。

 今朝のエッセイストさんにもお礼。

 おかげさまで、今年も藤を見ることができました。

 

 

 平等院でも高野山でもない、薬局の前の藤の花。蜂が飛来して、せっせと蜜を集めて回っていました。

 精霊と蜂。

 幸せな朝でした。