こころあそびの記

日常に小さな感動を

三つ星

 

 パチッと目が覚めたので、二度寝したい気持ちを抑えて、外に出てみました。

 写真の月の周りの雲が赤く染まって見えるのは、東から太陽が上り来る前兆です。西まで染まっている空に、感動がありました。

 

 

 薄明が始まり、月は薄くて透けているようです。

 お天道様より早起きするといいことがある。昔の人が、早起きは三文の得、と云いたくなった気持ちが分かります。

 三文が手に入るという即物的なことを云ってるのではないのでしょう。この時間帯しか見られないことがある。その美しい瞬間が、今日一日の幸せを約束してくれるのではないかと、思う朝でした。

 

 

 なかなか早起きできなくて、見逃していた星々。

 天頂近くには木星が、東からは明けの明星が上がってこようとしています。

 あいにく、ガスか薄雲かに遮られて、双眼鏡の観察もままなりません。ランダムに空を探っていたら、双眼鏡の中に三つの星が写り込みました。

 何だろう?三つ、何度見ても同じ明るさで三つ並んでいるのです。

 星座盤を探しても、ない、ない。周りの星が雲に隠れているので、空の住所がわかりません。

 

 家に入って調べてみて、オリオン座の真ん中にある「三つ星」だったのではないかと、興奮しました。

 えっ?今は夏の終わりですよ。オリオン座が見えるわけないでしょ。という向きには、お知らせします。

 明け方はもう、秋を飛び越して、冬の準備まで、整えられているのです。オリオンを追いかける夏の星、サソリはすでに西の空に沈んでしまいました。

 

 

 三つ星の発見は、ものの見方は一通りではないことを教えてくれたように思います。

 どうしても、冬の星座は大三角から探してしまいますから、オリオン座の四隅の星に目がいきがちです。

 しかし、古代では、一塊になったこの三つ星に何か意味を感じたのではないかと推察できます。

 

 エジプトのギザ台地にある三つのピラミッド。クフ王カフラー王メンカウラー王という三基の墓は、三つ星の並び方によく似ているそうです。

 他にも、オリオンは冥界の神オシリスの姿であり、三つ星の左下の星が南中したとき、ファラオの魂はオシリスのもとに帰るという話もあります。

 つまり、三つ星とピラミッドは深い関係があるようです。

 

 さらに、今回の発見で、星の名前はアラビア語に起源があるということを教えてもらいました。

 いままでは、イスラム社会といえば、ラマダン。日没から黎明まで、食べたり飲んだりするという夜の国という理解でした。

 でも、本当は、星の国だったのですね。夜通し起きてる人たちの、夜空の観測は確かなものです。

 イスラムを、少し知ることができました。