こころあそびの記

日常に小さな感動を

富士山初冠雪

 

 風が強い日です。

 低気圧が通過中のため、そこに向かって空気が流れ込んでいるそうで、北日本は大荒れのお天気だとか。

 ここ大阪では、流氷を思わせる美しい雲が広がっています。水と風の作り出した芸術作品です。

 

 

 NHKニュースで、富士山が去年より3日遅れて雪化粧したと、報じられました。

 異常気象だとか残暑が長引いているとか、人間のスケールで大騒ぎ。

 自然は、そんなちっこいことにはお構いなしに、いつも通りに循環しています。

 秋が始まっています。

 

 

 江戸、明治の頃に、初めて日本にやってきた外国人は驚かされたといいます。

 東洋の東の端の小さな島国で過ごす人びとが、質素ながらも心豊かに暮らしていることに感激した外人は数知れません。

 そのころから百年を経て、今、来日する外国人はどんな印象を持つのでしょう。

 先日、ちょっと面白いYouTube動画がありました。

 

 日本に来て感激したことはなんですか?という質問に、

 「こないだ、ラーメン屋に行きました。自動発券機の操作を誤り、2枚買ってしまいました。

 ラーメンを運んで来てくれた店員さんが、私が一人なのを見て、二杯は要りませんよね~と、一つ下げて返金もしてくれました。

 これには、びっくりしました。」

 

 

 機転の利く店員さんですね。あわせて、オーナーも含めて、そのお店のおもてなしの上質さを察したことです。 

 日本の印象が格段にアップしたに違いありません。

 清潔なこと、正直なこと、正確さ、礼儀正しいこと。

 こんなことが、このラーメン屋さんの話に集約されています。

 変わりつつあると言われる、日本の常識が、まだ根底からは揺らいでないことを嬉しく感じました。

 

 私が『こころ旅』や『家族に乾杯』が好きなのは、通りすがりの人々の優しさや温かさが、どの町でも見られるからです。

 それが、日本が持つ底力だと思います。

 もう古い日本の国の姿を刷新しなければならないという意見が散見される今日この頃。日本を訪れた世界中の人が「素晴らしい」と言ってくれる美点をどうして変容させなければならないのでしょう。

 古き良き日本の先人たちの常識を、後の世に送っていくのが、せめて年寄りにできる仕事かと思って見ています。