今日は二十節気の「寒露」。
野の草に宿る冷たい露のことを指し、秋の深まりを思わせます。霜が降りる一歩手前です。
五穀の収穫はたけなわとなり、農家は繁忙を極めます。
木々の紅葉が始まり目を楽しませてくれるようになりました。
九月の中頃、北海道大雪山から出発した紅葉前線は十一月にかけてゆっくり日本列島を南下します。
これは、葉っぱの中の成分が、急激な温度差によって変化するから見られるということです。
緑色は、クロロフィル。
黄色は、カロチノイド。
赤色は、アントシアン。
錦繍の秋。
秋になったら、どこでも紅葉が見られるかといえばそうではないようで、早い話、気温の下がりきらない沖縄では見られないといいます。
しかも、紅葉、黄葉に混じる緑色に中間色。
だからこそ、より美しくなるのですが、これは、落葉樹と常緑樹とが混じり合った植生の日本特有の美です。
こんなこと一つとっても、やはり奇跡の島なのかもしれません。
田の水は抜かれて土は干上がり、稲刈りの準備は整いました。
今日か明日かと、散歩の度に気になります。
きのう、竜安寺から出てきて空を見上げましたら、大きな鳥が旋回していました。
翼を広げたまま、気流に乗ってホバリングです。
急いで双眼鏡を覗いたら、尾羽がまっすぐに切れた形をしていたので、これがノスリかと、見えなくなるまで観察してしまいました。
きのう、展望台でお目にかかった方から、「タカの渡り」という言葉を教えてもらったばかりでしたので、この子も帰るところかと察することができました。
タカ類は9月から10月にかけて、本州中部から、四国、九州、南西諸島を経由して東南アジアへ、越冬のために渡って行くそうです。。
そんな情報をSNSで探っていたら、どなたかが、「タカを見送っていると感極まって泣きそうになる」と書き込んでおられました。
同感です。
タカばかりではなく、アサギマダラ蝶のような小さな命まで、方向を間違えることなく、島から島を辿りながら、温かい場所へ移動していく長い旅を想像するだけで、心動かされます。
そして、この日本列島が彼らを誘導できる形であることにも、あらためて気づかされるのです。
秋になったら紅葉するものと、何ら思うことなく、それが当たり前と思って生きてきました。が、小さな生き物たちが生き延びるためにどれほどの知恵を使っているかと思い至せば、ありがたさが身にしみます。
今日もこの場所で生きられることに感謝です。