こころあそびの記

日常に小さな感動を

三日月見えたよ

 

 野暮用で出かけた帰り道、太陽が真っ赤になって、淀川河口に沈むところでした。

 お仕事で定時にここを通られる方は、日没が早くなったことに気づかれているでしょうか。それとも、闇に包まれるまでにと、家路を急ぎたくなる夕暮れでしょうか。

 どっちにしても、こんなきれいな日の入りを眺めながら、一日の仕事を終えられることを羨ましく思いながら帰ってきました。

 

 

 スーパーに車を停めたら、マジックアワーの空に、そろそろかなと待っていた、三日月が浮かんでいました。

 西に沈んだばかりの太陽が、三日月を照らしています。

 こんな美しい秋の空をゆっくり眺められる老年期に感謝です。

 

 

 こないだ図書館で借りてきた本です。

 『長生きせざるをえない時代の生命科学講義』(吉森保著)。”長生きせざるをえない“という題名に惹かれて借りてきました。

 生命科学という難題を、分かりやすい文章で記されています。

 内容は、また明日にまわしますが、最後の「研究発ベンチャーについて」の一文は、吉森先生の心の叫びでありましょう。此処を、もっと世間の人々に知って欲しいという心情が綴られていました。

 

 もう二十年以上前になるでしょうか、甥っこがアメリカ留学先の高校を卒業することになり、渡米して卒業式に参列したことがあります。

 忘れもしないのは、もちろん成績順ですが、卒業生一人一人に出る育英資金の額と企業名が堂々と発表されたことです。

 日本は法律に縛られてこんなことはできないはず。

 頑張って大学で勉強しようという有能な学生を社会全体で応援しようとするシステムに、さすが米国だと感心してしまいました。

 

 

 吉森先生は書かれています。

 日本人の研究がけっして後塵を拝しているわけではないのに、やれ特許取得だ、事業化だという段階になると遅れを取っている。

 そこをなんとかしたくて、自分でベンチャー会社を立ち上げたとありました。

 

 日本では、大企業はまず、政治家に献金します。利権がらみで甘い汁を吸った残りを、研究者にばら撒くという形が横行してきましたし、今も変わりません。

 それは、今、問題になっている税金を取れるところから取りまくっておいて、あたかも、自分の手柄のようにばら撒くのとそっくりのやり方です。

 そうじゃなくて、直接、研究機関に寄付できるようになったら、余計な利権は発生しないはず。

 ただし、論文審査は厳しくなされることは最低条件ですが。

 

 

 特許取得にこだわらないところは、日本人のお人好しという特性と関係がありそうです。

 ただ、虎視眈々と獲物を狙う国があることも忘れてはなりません。

 法律を時代にあったものに変えることこそ政治家の仕事なのに。うまくいかないものです。