こころあそびの記

日常に小さな感動を

村祭り

 

 これぞ日本晴れ!

 

 

 稲刈りの済んだ田んぼの横でコスモスが揺れていました。

 コスモスの写真を撮っていたら、散歩中の男性が、

 「きれいに咲いていますなぁ」

 「そうなんですよね。家に植えてもちっとも根付かないのに・・」

 「土がいいんでしょうな」

 刈り取った稲が掛けられている光景が、近頃は珍しくなったと話していると、

 「手間かかるけど、天日干しすると甘くなるみたいですよ」と、男性。

 「生きてるんですね」と私。

 「米の方へ養分を送るらしいです」

 なるほど。わずかに残るいのちを子どもに与えようとする植物の親心に感動します。

 植物は語りもせず、動き回ることもしないで、大切なことはきっちり果たせよと、教えてくれる存在です。

 

 

 今日は村祭りの日です。

 子ども御輿を引く幼子の法被姿が可愛らしくて、立ち止まっては撮影してしまいました。

 

 「村祭り」(文部省唱歌)

 

 村の鎮守の神様の

 今日はめでたいお祭り日

 ドンドンヒャララ ドンヒャララ

 ドンドンヒャララ ドンヒャララ

 朝から聞こえる笛太鼓

 

 

 当日の運営や、太鼓のたたき方の指導など、後継者探しに苦労されているといいます。

 なぜ氏神様さまが、鎮座してくださっているのか。そんなことを学ぶことなく大人になった戦後生まれの私たち世代。

 そんないい加減な親の元で育ったにしては、次世代はしっかりしているように見えます。

 それが、長く続いた国柄、この国の形なのでしょう。言わなくても伝わる民度の高さ。

 

 

 女優の名取裕子さんが東日本大震災以降、「みちのく巡礼話芸劇場」と銘打って、釜石で公演を続けておられるそうです。

 そのこころは、「私たちの故郷である日本、そして地球は大変なことになっています。毎年のように天災があり、戦争が起きている。そんな中で私たちにとって本当に大事なものは何なのか。未来の人々につないでいかなければならないものは何なのでしょうか」。

 そして、こう続けられています。

 「日本というこの国がいつの間にかなくなってしまうことのないように・・」願って。

      (産経新聞本日朝刊より)

 

 

 ひとりの女優さんが、自分の仕事の範囲で見た社会から感じたものを話しておられます。

 最後に、

 「後世に、故郷の大切さと人とのつながりの大切さを伝えられるような作品にしたい・・」と締めくくられました。

 

 継ぎ足す言葉はありません。

 孫の、そのまた子どもたちも、村祭りに集える平和な国であり続けてほしい。お守りくださいと、氏神様にお願いしてきました。