こころあそびの記

日常に小さな感動を

初冬のあれこれ

 

 遠山に日が当たりたる枯野かな

            高浜虚子

 

 箕面山の落葉樹が燃えているように遠望できる毎日です。

 虚子が気がついたのは、錦繍のところに日の当たっている瞬間だったのではないでしょうか。その感動を切り取って残してくださっていることをありがたく思います。

 

 

 同じ情景を発見しても、あれ見て!と言うのが関の山の私。

 俳人は、感動を伝えることを任された人だと、つくづく思うわけです。

 それから、この遠望。山中に分け入っては見えない景色です。

 たまたま見た景色。そこには深い意味があるようにも感じます。

 

 

 初冬の季語である「石蕗」(ツワブキ)が、今年も咲き始めました。

 近頃は草ぬきをさぼって、家人に草刈り機をかけてもらっています。

 綺麗になった庭に一抹の罪悪感を感じるのは、ずっと、この庭に住みついてくれている植物たちを思うときです。

 ですから、こうして花咲いてくれるとほっとします。

 

 ツワブキは艶葉蕗。艶のある葉を持った蕗という語源を持ち、初冬ばかりでなく、場所さえ身にあえば、花のない冬の暗がりを明るく照らしてくれる花です。

 そして、私にとっては父母がいたころを懐かしく思い出させる花でもあります。

 

 

 コタツ時間が長くなると、してはいけないことを始めてしまいます。

 その一つが中国ドラマです。

 この『ミーユエ』は全編81話ですから、手をつけてはいけないと分かっていました。

 ところが、冬の夜時間が長いことをいいことに、見始めてしまったら最後、止められなくなって困っています。

 

 春秋戦国時代の一人の女の子の話です。

 戦闘シーンが少なくて、ひたすら人心の弄びに終始します。

 紀元前から今に至るまで、人間に成長はみられない。

 それは、二千年が、地球時間からみれば一瞬であるということでしょうか。

 それとも、そもそも人間は平安を好まないように神さまがお作りになっているのでしょうか。

 

 

 お正月が近づいて、家族が一堂に会する準備を始める話題がちらほらです。

 明日から師走。老体に鞭打って、今年もひとがんばりしなくてはならない年越しがやってきます。