こころあそびの記

日常に小さな感動を

初冬の散歩道

 

 あさ、テレビに登場する人が口を揃えて「今日から師走です」と云うものだから、じっとしていられなくなって散歩に出ました。

 朝の散歩はひさしぶりです。

 毎日、お弁当作りが一段落したら座り込んでしまうものですから、スタートしそこねるのです。

 そんなことではいけない、と自分に言い聞かせて出発しました。

 冬至まで一ヶ月をきっていますから、朝の太陽は低く上ったばかりでしたし、西には真っ青な空の色を透かしたようなお月様が儚く浮かんで見えました。

 今日限定の景色です。

 

 

 最初のワクワクは、カルガモコガモが個体数を増やしていたことです。

 これからの始まる寒さが、大地を眠らせます。そんな動きのない景色の中で、生命を感じさせてくれる貴重な存在が水鳥たちです。

 

 鴨だけではありません。

 ホバリングしている鳥を見つけて、大急ぎで駆けつけたら鮮やかな青色のカワセミでした。

 チッチッと鳴いて川底を歩いているセキレイを見て、突然、なぜかブルグミューラーの「セキレイ」を思い出して、口ずさんでいる自分がいました。

 道すがら、幼い日のことを思い出せるのも散歩の効用です。

 冷たい水でジャブジャブ朝風呂中だったのは、カワガラスです。「見ないでよ!」と、ご機嫌損ねて飛び去った様子に笑えたことでした。

 

 

 トウカエデの紅葉。

 

 

 大きなイチョウの木が色づき、見納めの日が近づいています。

 

 

 小ぶりなモミジの紅葉は、この子ならではの美しさです。

 

 

 数株の皇帝ダリアが並んで咲いていました。どの子も背が高い。

 手が届かないところで咲く冬の花です。

 

 

 農作業が終わった耕地が、果てしない空の下に広がるさまを見ているだけで胸がすく思いがします。

 お疲れ様でした。また来春。

 

 

 自然ほど贅沢な慰めはないと、心底思っています。

 外に出るだけで、つぶれかけた頭や、無感動になった心が蘇ります。

 たとえ病に倒れても、心が自然と友達である限り幸せな気持ちでいられると信じています。

 今は、その準備中。

 目を瞑っても見える心象風景を持ちたいと願っています。