こころあそびの記

日常に小さな感動を

臘日

 

 仕事が終わって外を見たら、霧の中に幻想的な山の姿。ここはどこ?という景色でした。こんな時、欲張って山に上がっても、そこは雲の中であることくらいは分かる年になりました。そこで、近所のパーキングの二階に写真を撮るために上がりました。

 眺めているだけで心が鎮まる思いがする午後でした。

 

 

 しばし心を休ませてから、尊鉢厄神さんに向かいました。18日は厄神さんの縁日だからです。

 どこかのご老人の口から「今日は少ないなぁ」と漏れるくらい、境内にいつもの賑やかしかさはありませんでした。

 それは、この氷雨のせいでもあるでしょう。この寒さの中、お参りするにはエネルギーが要ります。えい!と断ち切る強さが必要な縁日でした。

 去年いただいたお札をお返しして、新しいお札をもらったら、お正月行事をすべて済ました気になってほっといたしました。

 

 

 いつもは松の木漏れ日の中にすっきり立っておられるお大師像が今日は濡れておいででした。

 「初弘法の21日にお話会をします。どうかお力をお貸しください」とお願いして手を合わせました。

 

 

 帰り道で小さな橋を渡るとき、川床に群生している草が目に入りました。「あれっ?!」とバックしてよくよく見たのですが、草の名前は、わかりませんでした。まさか、昨日教えてもらったクレソンじゃないよね。

 もうすぐ咲くであろう花の色で判別ができるかも。そう考えると、花を咲かすという仕事は、彼らにとっては、最大の自己主張でもあり、今流行りの承認欲求を満たす行為でもあるようです。

 ソバかな、クレソンかな?

 春が楽しみです。

 

 

 今日は旧暦で12月8日ですから、臘八会(ろうはちえ)です。

 臘は猟。昔、農耕がまだ未熟だった頃は猟をして、神様に獲物を祀った祝祭日です。

 今は、写真にもあるように、お粥を食べます。日本に七草粥があるように、肉食に疲れた胃腸を休めるためのものでもあったでしょう。そしてそれは、旧暦12月のことですから、一年の終わりに向けて安息の生活を送ることでもありました。

 

 

 私も炊いてみました。

 寒い日のお粥が体を中から温めてくれます。

 棗とクコと冷やご飯を電気釜に放り込んで、お粥モードにしてスイッチオンするだけです。

 近頃、棗の甘ったるい感じがはらわたに滲みる感覚があります。美味しいと感じるのは、体が要求しているときです。

 ちょっとお疲れ気味ですよ~と体が教えてくれています。だとしたら、この棗を常食していた楊貴妃は、常にお疲れだったのかもしれませんね。