日没を見に行くのにちょうど良い季節になりました。
昨夕のマジックアワーもきっと素晴らしいものだったに違いありませんが、お楽しみの日々は始まったばかり。太陽が山の端に隠れた瞬間が見られたことに満足して帰ってきてしまいました。
夕焼けは秋の風物詩だと云われてきましたが、この高台に集まる人々は「6月の梅雨時分」が美しいとの見方です。
特にマジックアワー愛好者には、これからの季節が最高だとか。
清少納言が「夏は夜」と言っていたのを思い出しました。ホタルだけではなく、火照った体を冷ますのに、宵のそぞろ歩きはよろしいようです。
なかなか踏み込めずにいた竹林。昨日、鶯の声に誘われて入ってみました。もうすぐ、ヒメホタルが見られる竹林の中の道は、どなたかが下草刈りをしてくださったおかげで、迷うことない一本道になっていました。
とはいえ、夕刻の林を進むのは勇気の要ることです。そんな私を励ますように、少し開けた場所の柵の中に一本の大きな栴檀が待っていたのには驚きました。
こんなところに栴檀がすくっと立っていたなんて。花がある間にまた来たい夢の空間でした。
明けて、気温7度の朝。
爽やかな風の誘いを受けて、千里まで行ってきました。
木々の新緑が香りを振りまいて、風が薫っていることを実感できます。
薫風の渡る地球の果てまでも
汀子
寺田寅彦は自分に厳しい方だったようで、
薫風や玉を磨けばおのずから
ですって。どこまでも自分磨きを怠る事なかれとおっしゃっています。
車道横に整備された緑の道を歩いていたら、道ではないところを歩いて下ってくる方がありました。
目ざとく見つけた私は、早速、崖を横切って、その道に上がってみましたら、そこには人々が踏み固めた道が出来上がっていました。
中央公園に通じる早道、脇道。道とは本来、こうやってできるものです。
そんな道を見つけたことがうれしい散歩でした。
昨日、宮崎駿さんのプロジェクトXを見たからか、気分はメイちゃんになりきったことでした。
この穴の向こうに何がある?
そんな気持ちを失わず、生きていきたい。
ドキュメンタリー映像の中で、彼は何も言わなかったけれど、80歳を越えても、「君たちはどう生きるか」を考え続けることで自分を保っていることは分かりました。
入ったことのない森に足を踏み入れること。先人の歩き固めた道を歩いてみること。
目の前に差し出された課題は、年寄り向けの些細なことですが、クリアできる体力が残されていることに感謝です。