水面が朝日を受けてキラキラ輝いていました。
それが、いつでも見えるかといったら、そういうわけにいかないところに、自然の不思議があるように思います。一期一会。
半時もあとに来たら見えない景色をしっかり目に収めて来たことです。
毎日のように、美しい自然を求めてうろうろしていますのに、二度と、全く同じ景色を見ることはないと思っている私はなんと単純なと、頭を小突かれたのが、カーラジオから流れてきた『子ども科学電話相談』です。
今日の相談者、5年生の男の子の質問が奮っていたから目が覚めた思いがしました。
彼の質問はこうです。
「なぜ正夢(まさゆめ)だけが、時空を超えられるのですか?」
「君はどんなときそう思ったの?」
「ある時、チーズバーガーの夢を見たんです。目が覚めたら、お昼ご飯がチーズバーガーでした」
さぁ、回答者は困ってしどろもどろ。それこそ子どもの夢を壊すことは未来を閉ざすことですから、言葉使いに要注意。かといって、先端科学でもこの分野は解明できていないのが本当のところですから嘘は言えません。この二つの板挟みになっておられる先生の思いが伝わってきてつい聞き耳を立ててしまいました。
先生のお答えは、人はいろいろな夢を見ていて、その一つがたまたま実際に起こることと合致することは、ままあることなんだよ。でした。
しかし、男の子は食い下がって、「時空を超える」という表現は漫画や予言者の言葉から取得したこと、そして正夢が未来から送られてくる情報だとしたら、未来が予測可能になり、災害などの予知に役立つかもしれないと言うのです。
結局、先生も男の子も心底納得しあえず終了してしまったことは、残念なことでした。
では脳科学者ならうまく応えられたらかといえば、それはないでしょう。まだまだわからないことが山ほどあるから、次世代の子どもたちの研究意欲が湧くというところでしょうか。
中医学では、夢は肝と関係があると考えられています。
・心は脈を運行し、神はこの脈によっている
・肺は気を蔵し、魄はこの気によっている
・肝は血を蔵し、魂はこの血によっている
・脾は営に蔵し、意は営によっている
・腎は精に蔵し、志はこの精によっている
と、『霊枢』に書かれいます。
魂が、安住の臓器である肝に、何らかの原因で居場所をなくしたとき、ふらふら出歩き、夢を見るなんて、なかなか考えつかない理論です。
こういう独創的な想像力が中医学の真骨頂です。
さらに、覚醒とは、魂と神が共同で正常な精神活動を行っているときであり、睡眠とは、神が休息しているので、魂は自由に活動できる時間とまで言っています。
神-気-血-営-精。
誰も見たことのない体内の連係プレイ。その担い手に、神や気が含まれることに先人の精神の高さを感じます。
先の五年生の男の子が抱いた正夢が、古人の謎解きに重なれば、脳科学が一歩前進するにちがいありません。
先生の答えに納得できなかったことをずっと忘れずにいてほしいです。いつか、チーズバーガーの夢の謎解きをして、大きな足跡を残す科学者も夢ではありませんよ。