もう観ない!と誓ったはずなのに、チケット入手情報が入るやいなや「私、行きます!」と手を上げてしまう意志薄弱な私です。
二十年も前には日参していた宝塚駅から「花の道」へ。
変わったことといえば、あの頃なかった宝塚ホテルが移動してきたことくらいで、劇場目指して歩く人々の高揚感は少しも変わりませんでした。
そして、客席で開演を今か今かと待つ女性たちも昔と変わらず、その中に混じって座っている自分がまるでタイムスリップしてきたように感じたことでした。
今日は、花組『エンジエリックライ』と『Jubilee』の二本立てです。
トップスター永久輝せあ(とわきせあ)さんは、2011年初舞台といいますから、私の足が遠のいてからの生徒さんだと思われます。
ですので、彼女の舞台は初めてでした。トップに歌唱力があって、ストーリーが分かりやすいとくれば、万人受けして当然の作品に仕上がっていました。
そして、夢の世界に誘うためのお衣装や舞台美術も、十分にその役割を果たしていましたから、すっかりのめり込んでしまいました。
久しぶりに一生懸命に観すぎて、どっと疲れたと娘について言ったら、「ええっ?そんなに」と笑われてしまったくらいです。
この出し物は永久輝せあさんと、娘役トップの星空美咲さんの御披露目公演だそうで、スターさんが客席に降りてくるサービスに場内は大いに盛り上がったことでした。
そんな若い二人の他に、私が気になって拍手を送り続けたのは凪七瑠海さんでした。
彼女は、轟さんのディナーショーの常連で、毎回バックダンサーや、コーラスを担当していた、そのころの若手です。
専科に移動して十年以上経つはずです。もともと実力のある方でしたから、今日も十分に魅せてくださいましたのに、今公演で退団なさると知ってショックでした。
もう知った生徒さんはおられない。それは、淋しいことながら、コロナ禍や、あるいは悲しい出来事を乗り越えて育ってきた劇団員をあらたに応援する気持ちも芽生えた観劇でした。
観劇後、孫たちの世話に走り回っている娘にも観せてやりたくて、チケットセンターに寄ったのですが、残りはわずかしかありません。
慌てて、娘に都合を訊ねて一枚ゲットしました。
私の母は小夜福子。私は轟悠。娘は春野すみれ。宝塚は母から娘に受け継がれていく類ない宝物です。
宝塚さえあれば、話題に事欠くことがないとは幸せなこと。
劇団危機を乗り切ったかにみえる宝塚ですが、願わくば今後も存続できますよう。舞台を夢見て、あれほど努力する娘さんたちを裏切らないでください。
偏に経営陣の手腕にかかっています。どうかよろしくお願いします。