こころあそびの記

日常に小さな感動を

小正月

 

 今日でお正月気分もおしまい。

 大阪は本日までと決まっていますが、松の内は地方によって期間が違うと聞きます。なので、散歩途中に各家々の正月飾りを確認しては、よしよしまだ掛かっているなと安心して帰ってくる毎日でした。それも今日で終わりです。

 昨晩から、明日明日と気になっていたので、今朝は弁当作りが終わるやいなや注連縄飾りと門松を取り外しにかかりました。

 

 近くの神社のとんど焼きの点火は、結構早いので遅れないように持って行こうと思って準備してましたら、娘が出勤途中に寄ると言ってくれました。

 送ってくれたメールに添付された赤々と燃え上がる火に、今年の無病息災を祈りあげたことでした。

 「めちゃ、きれいな気やったよ」

 雨に洗われた境内に人影はなく、当番の氏子さんだけが火の当番をされていたそうです。

 「私が写真撮ってたら、『これ、じゃまやろ』と、台をどけてくれはってん」

 なんでもないようで、こういう優しさや気遣いこそ、次の世代に受け継がれてほしいものです。

 

 小正月寂然として目をつむる

           飯田 蛇笏

 

 お正月らしい気分に浸ることもできず、お会いした人にも「おめでとうございます」とはっきり言えず、口ごもることの多い二週間でした。

 厳しい試練を乗り越える現実は想像できるものではありません。どうか、当事者のみなさまが心を強く持ってくださいますよう念じるばかりです。

 私たちの生活には、たくさんの行事が組み込まれています。そのすべては無病息災や悪霊払いを祈るためのものです。そこからは、先人たちも災難に合わないように、常に祈っていたことが察せられます。

 天の助けに縋りたい時があるのです。

 

 

 散歩で出会った方が、あぜ道で何か探しておられます。

 「何を摘んでおられるのですか?」

 「ヨモギです」

 「えっ?もう出てますか?」

 「まだみたい。でも、私、ヨモギにはまってるの。お風呂に入れるといい匂いするんですよ」

と、仰る傍らには立ち枯れたヨモギが並んでいました。それを摘んで、枯れた葉を取り除いて、一番上に残ってる緑色の葉っぱを大切そうに持っておられます。

 「これだけあればいいかな」

 たった3輪です。

 「図書館でしらべたら、ヨモギにはいろんな効用があるのよ。私はこの匂いが大好きなの」

 十人十色。

 自分が最も心地よく過ごせる方法を探し当てた人が、一番幸せです。彼女が、そのうちの一人であることはちがいありません。

 晩冬の午後のやわらかい光の中で、こんな方とお会いできたことは夢の中の出来事のようにも思えました。

 

 

 セキレイが何度も何度も空を切って飛びます。一飛びで随分遠くまで行ってしまいました。

 青空が気持ちいいのかな。

 

 

 枝先に、ふくら雀の群れが止まっています。かわいらしいことです。

 

 

 スイセンタンポポも咲き始めています。

 ヨモギ摘みを楽しめる日も近いことでしょう。