一年中で最も暑い時期という名前どおりに草木も萎える暑さです。
しかし、半月後に「立秋」がやってくることを思えば、その響きだけで先への希望が持てるというものです。
秋になったら、これもしよう、あれもしようと計画を始めるのも、この頃なのかもしれません。
というのは、とある旅行パンフレットが届いたのでパラパラと捲って、気になるものがあったので電話をかけてみました。
なんと!すべて満席でした。
世の中の早い動きに取り残された侘しさを味わってしまったことです。
気を取り直して、秋は紀勢本線に乗るぞ!とばかりパーソナルツアーを組み立てるつもりです。
一人では行けないところなら、団体旅行で連れて行ってもらうのもありだと思うのですが、そうでなければ一人旅派です。
電車の時間も気にせず、気の向くままに予定変更して、見たいものを見に行く。それは、一人旅の醍醐味ではないでしょうか。
ただ一つのハードルは、女性一人を泊めてくれる宿が少ないことです。
インバウンドが増えてきて、そんな需要に徐々に対応できるようになれば、うれしい限りです。
紀行文の最高峰は『奥の細道』に尽きます。
芭蕉は、この文章を自分の集大成と考えて、漢文から和歌集まで持てるものをすべて結集させ、推敲に推敲を重ねて書き上げたといわれています。
そして、その意思は時代を問わず多くの人に愛され、年を取れば取るほど、惹かれる理由が明白になってくるところが魅力です。
父も最後は芭蕉でした。俳句のハの字にも縁がなかった人でも、その精神には心酔できたようです。
「造化に従い四時を友とする」
大自然と小我の融合です。私たちは自然の一員として生かされ、大自然に同化している。それを実感するために旅立ち、著したのが「奥の細道」です。
このことは、日常生活の中でも、心を研ぎ澄ましておれば、感じることが可能です。
しかし、旅中に受ける刺激は、かなり印象深く残ります。
芭蕉の場合は、歌まくらを辿りながら、古人の足跡に涙してばかりの旅です。これは、ものを知った人だけが味わえる感動。
ものを知らない素人は、『奥の細道』の解説本をぺらぺらめくりながら、「片雲の風にさそはれて、漂泊の思いやまず」の心境で、秋を待つばかりです。