こころあそびの記

日常に小さな感動を

ささやかなシンクロニシティー

f:id:snowrumirumi:20210608175213j:plain


 二週間ぶりに行ったら、職場裏に植わっているクチナシが満開になっていました。低く切りそろえられた街路樹ですから花の数は数えきれません。顔を近づけるまでもなく、甘い香りが漂う朝でした。
 と、帰宅したら娘が庭のクチナシが咲いた!と一輪挿していました。
 とてもささやかなシンクロニシティーです。
 何故そんな言葉を思いついたかというと、今日は、もう一組、関連がないのに共通している話を耳にしたからです。
 出勤途中のラジオで「明後日発売の文藝春秋に、田辺聖子さんの日記が掲載される」と知りました。
 田辺さんが樟蔭女専に通っていた二十歳前後の三年間と言います。大阪福島区写真屋さんだったご実家が、大阪大空襲で焼けた話が読み上げ終わらないうちに、直ぐに思い浮かべたのは、私のおばあちゃんのことでした。
 おばあちゃんは南のど真ん中で、慶応ボーイだった次男と二人で家を守っていました。突然の空襲の中、二階の屋根伝いに逃げて、下を走っていく人に「助けて下さい!」と叫んで、電信柱を伝って下ろしてもらい、焼夷弾で焼けた防空頭巾を防火水槽で濡らしながら逃げたんやと、母から何回か聞きました。ですから、見た話ではないのに、私の中では出来上がった話なのです。
 田辺聖子さんの文藝春秋も読んでみたいなぁと思いながら仕事を始めましたら、また、なんと、82歳の方が、お父様が北海道の日高連隊から沖縄に移動する際に戦死されたと、その時の様子を教えてくださったのです。
 「ごめんごめん、あんたらには分からんよね」とおっしゃいましたが、彼女も当時6歳だったそうで、そのお母様のご苦労が目に見える思いがいたしました。
 ついでに、彼女の現在は。
 毎朝5時に大阪北部の自宅を出て、始発に乗って、大阪市内のご自分の実家に一人残る92歳のお姉さまのお世話に帰られます。そのご実家はお寺で、後を継ぐ者がなくて、彼女が得度して、檀家のお務めもされるとか。
 だから、お元気です。
 「してあげてるのやないの。たくさんしてもらってるの」
 こんなお年寄りっていいですね。