こころあそびの記

日常に小さな感動を

旅の余韻

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 弥彦山ロープウェイの中に貼ってあった鳥たちの鳴き声を検索してみると、山の中で聞いた声に似たものがありました。
 双眼鏡も携帯していたのに、なんで覗いてみなかったのかと悔やまれました。仕方ありません。必死の登山でしたから。
 一つ、絶対にこれだ!と思ったのは、山雀(ヤマガラ)です。「ツツピーツツピー」と何度も鳴いていました。
 キビタキオオルリは上級者用の鳴き方ですから特定できませんでした。
 小鳥が山を楽しんでいるように、山を楽しめる人になる道は遠いことです。いや、楽しみ方は無限に用意されているということがありがたいというべきでしょう。

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 山登りのあと、昼前に弥彦を発車する電車を乗り過ごすと15時台までないなんて。そんな路線があることに、少なからず驚きを禁じ得ませんでした。それでも、この村に人が住み、大鳥居を建てて上越新幹線の開通を祝している。
 どこかで騒動が起こっていることが、嘘のような平和がここにはありました。
 なんとか、昼前の電車に飛び乗り、越後線で新潟に向かいます。越後線は、関西では観光電車にしか見られない単線で、車窓には両側に広々とした越後平野の田園風景が続きます。田おこしのためのトラクターがチラホラ見えました。なのに、今日はまた雪空予報。越後の春は行ったり来たりです。
 しかし考えようです。早春は人々に希望をもたらすものです。今日か明日か、とそのワクワクした気持ちが長く続くことを羨むべきかもしれません。
 
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 新潟空港から機上の人になりました。
 チケットカウンターの方が、「窓側通路側はどちらにされますか?」と訊いてこられたので、「どちらでも」と即答したのに、直ぐに思い直して「窓側に」とお願いしました。
 私は身体がでかいので、通常は通路側を希望するのです。が、今日はお天気がよいことを思い出したのです。
 機転を利かして良かった。初めて飛行機に乗った子供のように、窓から下を見て過ごしました。
 ルートを知らなかった私は佐渡島が見えたので、このまま海上を進むのかと思っていたら、さにあらず眼下に真っ白な雪の山々がどこまでも続きます。
 こういうのを見られるところが飛行機の醍醐味です。
 機長の「ただいま知多半島上空です」というアナウンスで初めて信州を横切ったことを知りました。
 山の姿を、車窓から、自分の足で、機上からと堪能したことで、旅に思い残しはありません。