マイナス2度の表示に震えながらの起床でした。外に出ると足元にシャリシャリと、頼りなげな霜柱の感覚がありました。
冬至の週が始まる。そのことを実感したくて庭を一周したら、落ち葉の吹き溜まりが塀に押し付けられたようにできていることを発見。見上げると桜は裸木になり果てていました。
桜の木一葉残さず凍り立つ
また、車のフロントガラスに付いた美しい結晶は日が昇るにつれて溶けていくところでした。
いよいよ本格的な冬のスタートです。
こんな日はお風呂に浸かって、思わず「あぁー」と声を漏らすのが何よりの幸せです。
今はできなくなったことの一つに、湯船にタオルを持ち込むことがあります。
まだ、持って入れた頃のお話です。
「肩までつかりなさい」
イチ、ニィ、サン・・とカウントしてもらえるのは、肩まで浸っている間だけ。熱い!と出たらやり直しでしたよね。
その肩に手で掬ったお湯をかけてくれた母を思い出します。さらに、タオルを肩に載せて、その上から湯をかけてもらうことのなんと気持ちよかったことか。
怖い母に感じた数少ない優しさの記憶です。
先日のお話会でも話題に上りましたが、実際はうなじまで温めるといいようです。
葛根湯の適応症状に「項背部の強張り」とありますように、背中には風邪の侵入口があります。だから、風邪をひきたくなければガードしておかなくてはならないところです。
肩までより、首まで浸かって温める方が一層望ましいように思います。
許されるものなら、お湯に浸したホットタオルを肩にかけて温もるのが最高の入浴法ですが。
近頃は露天風呂つきの温泉が人気です。しかし、タオルでガードできないのに、長く首を冷やすことは、この時期にはおすすめできません。
温泉に行って、風邪引いて帰ってきたら何をしていることやらになってしまいますから、気をつけて。
昔の内風呂は狭いものでした。それだけに親子のコミュニケーションの場所でもありました。
お湯を手でかいて、子供に届けてやるのも大人がしてやりたくなることの一つです。
友人のお母様はこの仕草に人生訓を込められたと聞き、さすがだと感心したことがありました。
「湯はフチに当てるように回すんやよ。そうしたら、回り回ってあんたのところにくる」。
お風呂タイムも決して無駄にはしない母心に驚きました。
風呂場の些細な一言が、幼子の心に残って生きる知恵になり、その後、彼女が一味違う大人になったのは言うまでもありません。
個室、個食・・と自立ばやりですが、子供はお母さんとお風呂に入りたいと思っているかもしれません。