早朝、月齢17の朝の月が庭を照らしていました。
今朝の気温は5度。梅が綻び始めています。昨日とは大違い。夜の間になにがあったのでしょう。
さて、昨晩、テレビを付けたら、小林旭さんが歌っていました。
ご存知の方も少なくなったことでしょう。なので、ちょっとミーハーしてみます。
というものの、彼の最盛期は私はまだ学生でしたから、語れるほどのネタはないのです。しかし、裕次郎旋風に平行していた彼の役者人生が、暴風に晒され続けていたことは、ゴシップ記事で知っていました。
だからこそ、スケール感とは裏腹な哀愁があって、更に、その魅力を決定づけているのは、彼の声質にあるのではないでしょうか。
彼は歌手でもあります。
あの歌唱力は並外れているというか、誰も真似のできないものです。
初めて『北帰行』を聴いたときは、「この人、音痴?」と思ったくらいに高温に伸びる音程が、彼を特殊な歌い手にしています。
そこに、目を付けていた人がいたのですね。
このお二人のタッグで生まれたのが『熱き心に』です。
ノートに書き写してみました。阿久悠さん57才の作品です。愛される詩になる要素が漏れなく散りばめられて、さすがです。
四季を織り込み、“熱き心に時よもどれ”と歌っています。
春には花咲く日
夏には星降る日
秋には色づく日
冬には真白な日
小林旭に彼にふさわしいスケールのでかい歌を歌わせたい。ご本人、47歳の作品です。
音の調子が外れているようで、外れていない歌い方は、聞く者に大きなインパクトを残してくれました。
歌コン、最後の曲はご自身で作詞された『がんばれ若僧』でした。
昭和13年生まれの御齢84才ですよ!びっくりしました。声量にも発音の明確さにも。
歌詞の末尾に「どうやったって悔いは残るもんさ」という部分がありました。
私もよく思うのです。自分はこういう生き方しかできなかったと。振り返れば、これ以外の選択ができなかったのです。そして、そういう自分を愛おしく思う年になりました。
常に裕次郎に比べられる現役生活が、彼にどれほどの心の負担となっていたかと考えるのは、凡人の浅はかさなのかもしれません。
そんな想像をよそに、彼は逃げも隠れもせずに、笑われても笑い飛ばすだけのパワーを全開させて生ききってこられました。
こんな人生もあるんだ。
彼のステージ上の堂々とした笑顔に励まされた人は数多かったと思います。もちろん、私もその一人です。
昭和の映画俳優の生き残りの証言を残しておきたいと、YouTubeで発信も始められています。ますます意気軒昂に、いつまでもお元気でと念じています。