こころあそびの記

日常に小さな感動を

笑顔

 

 「今日は寒くなります」という天気予報に怖じ気づいて、たまってしまった積ん読でも消化しようかと考えそうになって、ふと、こないだ会った方の言葉が脳裏を掠めました。

 「することがない日々です。テレビを観て独りでニヤニヤして過ごすのもね~ですから、毎日、時間を決めて外に出ることにしてるんです」

 それは、「大人の時間割」ですね。

 先生に作ってもらった時間割じゃなくて、自分で作る時間割。

 きっぱりした物言いのわりに、どことなく孤独感を漂わせた人でしたが、独りの時間は友だちと話すこととは別の大切な収穫があることを、きっと知っておられたはずです。

 

 というわけで、寒い朝の空気の中を歩いてみました。

 

 

 こないだまで、あんなに残り柿が枝にぶら下がっていたのに、今日は一つもありません。しかも、下に落ちた潰れた柿も。

 春が来るまで、野鳥のいのちを守ってくれた大きな柿の木に、今年もよろしくと話したことです。

 

 

 真ん中の二本の大きな木のてっぺんを見て下さい。まあるい形をしていますよね。だからこれは「ラクウショウ」なんですって。どおりで、この林は爽やかな匂いがするはずです。

 付け足しですが、もし先端が尖っていたら、メタセコイアだと、教えてもらったことを復習したりして。

 

 

 冬の林は思索にもってこいですが、何も考えない者にとってもその静けさは魅力です。

 だったのですが、どうやら、冬が最終章に入ったことを、しなめく梢の先に感じるようになりました。陽射しも春。雲の形も春。春、春、春。

 うれしいようでもあり、冬の静けさとの別れが惜しいようにも感じたりして、複雑な胸の内をたっぷり味わえる季節です。

 

 

 歩きながら、出がけに見たYouTubeを思い出していました。

 「人間だから間違うこともあるよ。そのときは、ごめんなさいと謝って前に進めばいい」。

 そうなんですよね。仕事をしていたら間違いもありましょう。あってはならないとこながら薬局業務にだってヒューマンエラーは完全に排除できないものなんです。

 そんなことが起こるのは、概して人間関係にギクシャクがあるのではと考えてしまいます。そこで働く人の気持ちを一つにまとめることは、難問中の難問です。

 それでも解決したいなら、自分の生き様を見せることしかないと豊田章男さんがにこやかに応じておられるのを見て、いっぱい元気をもらいました。

 人を元気にするのは、究極のところ、「笑顔」しかないということですね。

 

 「今日はオシドリがいますよ」と、心通わせるときも、「その犬バッグかわいいですね」と相手を照れさせるときも、「笑顔」が共通言語です。

 今日、口角を上げるシーンが何回ありましたか?