こころあそびの記

日常に小さな感動を

寒九の雨音を聞きながら

 

 あたたかき宵なり寒の雨が降る

           青木森々

 

 今日明日に降る雨は「寒九の雨」。

 この日に雨が降ることは、豊作の兆しといわれてきました。

 今宵も降り続くであろうあたたかな雨に寒中であることを、ひととき忘れさせてもらえそうな気がします。

 

 

 さて、雨の土曜日です。

 何をいたしましょう。

 中国ドラマも無料配信分は殆ど見尽くして、手持ち無沙汰に過ごしています。

 しかし、見終わったと言えど余韻が残るのは、中国大陸に繰り広げられた数々のドラマが、『キングダム』に描かれたように、どこを切り出しても壮大なストーリーを持っているからでしょう。

 それは、大形先生の教室のメンバーに触発されていなければ、踏み込むことのない世界でした。

 研究者の方々の難しい本を読む力がないので、立ち止まっていたところ、ひとりが宮城谷昌光さんの書かれた中国小説を読んで大意を把握する方法もあると教えてくれたことをきっかけに、それならばと思っていたところです。

 

 

 本屋をうろうろしてたとき、北方謙三さんの『水滸伝』がずらっと並んでいるのを見て、びっくりしました。なんと、文庫本で19巻、続く『楊令伝』15巻、さらに続々編『岳飛伝』が17巻です。

 うわぁ~。気持ちが萎えていきました。

 同時にこれほど書けるエネルギーの源泉を知りたくもなりました。

 

 百田尚樹さんが、モンゴルの話を書き始めるにあたって、「面白くて面白くてたまらん」とおっしゃっていました。

 作家さんは苦行難行の末に作品を生み出すものというのは思い込みでした。そうではなくて、楽しくてたまらないという面があってのお仕事のようで、その才能がうらやましい限りです。

 

 

 ところで、ハードボイルド作家であった北方謙三さんが、いつの間にか、歴史小説家になられたことに興味を持ちます。

 それほど、やめられない止まらない泉を掘り当てたということなら読破したいけど、まぁ一巻目で挫けてもいいやと買ってきました。

 

 「男の死に様、すなわち如何に生きるかを、彼は普遍的テーマとしている」とWikipediaに書き込みがありました。

 読み始めると直ぐに、会話の中にそのテーマが出てきました。

 「命の終わり方は望んで望めるものではありません。思いとはまったく別のものが終わり方を決めてくれます。その命をどう生きたかを誰かが見ているのだろうと私には思えてならないのです。」

 

 そのくだりに惚れて、快調に読み進めそうなものですが、たとえ年末にまだ一巻途中でも笑わないで下さい。ライフワークと思えばなんのそのです。